内容説明
相撲の土俵など、いまだに日本社会には女性が立ち入ることができない空間がある。その淵源をたどると、貴族や武家あるいは宗教関係者が、支配体制を確立するために女性を穢れた存在としたことに行き着くのではないだろうか。本書では女性の穢れの、古代から近代までの変遷およびその本質について、律令制や神道、仏教等との関連に着目し、歴史学と民俗学との融合を図った、斬新な視点より解明する。
目次
第1章 近代日本社会における女性の穢れ(女性の穢れ―「産穢」「血穢」とは;「産穢」の実態 ほか)
第2章 古代日本社会における女性の穢れ(『養老令』と『弘仁式』・『延喜式』などの規定;記紀の世界 ほか)
第3章 中世日本社会における女性の穢れ(貴族社会の様相;武家社会の様相 ほか)
第4章 近世日本社会における女性の穢れ(江戸幕府の服忌令;各神社の服忌令 ほか)
第5章 女性の穢れの本質(女性の穢れの歴史的変遷;女性の穢れの本質)
著者等紹介
成清弘和[ナリキヨヒロカズ]
1951年11月、兵庫県生れ。1975年3月早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。神戸学院大学・園田学園女子大学非常勤講師
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感想・レビュー
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たまきら
34
世界中にある女性の体と「穢れ」の思考。ここでは日本に脈々と流れる「穢れ」意識を様々な資料から拾い上げ、データとして紹介してあります。多角的に女性研究者によって分析してもらったら面白いかも…と思ったり、データの救い上げについて色々思案したり。21世紀女子が解ける呪縛も多いと思うので、ぜひ男女で学んでもらいたいジャンルです。2021/09/20
双海(ふたみ)
1
女性の穢れ――出産に伴う「産穢」と月経に伴う「血穢」について、日本史学の立場で、民俗学の成果も参照しつつ古代から近代まで通史として考える。研究の細分化(分析的営為)が著しい中、本書のような総合的営為は重要な位置にあると思う。2013/04/22




