出版社内容情報
海洋や湖沼における生態系を解明するために、水域の一部をシートで仕切った隔
離水界(メソコスム)を用い、その中の各種生物の相互作用を解析する方法が急
速に発達している。本書は、この手法を用いた諏訪湖での実験の成果を、各実験
の発想、具体的な実験操作等を含めて明らかにする。
内容説明
野外観察と室内実験の隔たりを埋めるために、近年急速に発展してきたのが隔離水界(メソコスム)を用いる手法である。本書は、これによる諏訪湖での実験の結果、各実験の発想、具体的な実験操作等をまとめ、環境問題への応用も考え必須の基礎知識を提供する。
目次
第1部 メソコスム研究の歴史と方法(湖の生物群集とその解析;メソコスム研究の歴史)
第2部 諏訪湖とメソコスム(メソコスム実験の装置と問題点;実験の場としての諏訪湖の特性;メソコスム内の水温と水の動き;メソコスムと湖の生態系の比較;湖沼生態系における底泥の役割)
第3部 一次生産者の制御実験(遮光による生態系の変化;二酸化炭素処理による植物プランクトン群集の変化;寄生カビによるケイ藻の個体群の調節)
第4部 高次生産者の制御実験(ドライアイスによる動物プランクトン制御の影響;殺虫剤テメフォス投与の生態系への影響;コレゴヌス投入のプランクトン群集に及ぼす影響;ワカサギ投入の生物群集への影響;底生生物と魚類の関係)
第5部 同位体による生物相互作用の解析(炭素・窒素安定同位体比からみた物質循環と食物網;同位体をトレーサーとした摂食実験)
第6部 総括と展望(湖沼生態系の解析に向けて)