内容説明
まろやかな太陽、降り注ぐ陽射しにきらめく森の緑…。眩いばかりの夏が今年もトスカーナにやってきた。時は1943年、第2次世界大戦下―両親を事故で失ったペニーとベビーの姉妹は、音楽と芸術を愛するユダヤ系知識人、アインシュタイン氏と結婚したイタリア人の伯母カッチェンが暮らす田舎町に引き取られる。両親を一度になくした哀しみは深かったが、優しい伯母と不思議な魅力に満ちた伯父のもと、ふたりは健気に新たな人生の一歩を踏み出す。屋敷のメイドや地元の子供たちと交流を深めていく中、幼い姉妹は、身の回りに広がる世界の様々な出来事に遭遇する。宗教のこと、戦争のこと、愛する者を失うことへの不安や、大人たちの密やかな愛の営み…。そう、人生は不思議なことや秘密でいっぱいだった。だが、そんな瑞々しい真夏の日々も終わりを告げようとしていた。忍び寄るドイツ軍の魔の手が、すぐそこに迫っていたのだった…。イタリア3大文学賞のひとつ、ヴィアレッジョ賞に輝くロレンツァ・マッツェッティの自伝的小説。
著者等紹介
マッツェッティ,ロレンツァ[マッツェッティ,ロレンツァ][Mazzetti,Lorenza]
ローマに生まれ。母親は出産が原因で死亡、その後しばらく父親と暮らす。フィレンツェのミケランジェロ高校を卒業。ロンドンで、映画を二本撮影。処女作はカフカの『変身』の映画化、二本目はデニス・ホーンと共作の『トゥギャザー』で、1956年カンヌ映画祭で探究賞を受賞。1961年に『ふたりのトスカーナ』(原題『空が落ちる』)を出版、イタリアの権威ある文学賞、ヴァアレッジョ賞を受賞。イタリア帰国後は、テレビと映画の監督として活躍。十年間にわたって、雑誌「ヴィーエ・ヌオーヴェ」に読者との対話のページをもち、『影の側』のタイトルで出版。現在、ローマで夫と暮らし、人形劇場「プッペルテアトル」を主催
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