出版社内容情報
明治末期に始まったフィリピンへの日本人移民は、一時期、全土で3万人にも上り、大勢の混血二世が生まれた。本書は毎日新聞に連載されて話題を呼んだ、日本軍占領期に協力を強いられた日系二世・日本人孤児たちの戦後史ルポに大幅に加筆した貴重な日比裏面史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
明治以来、フィリピンに移住し定着した日系人の戦中から戦後にかけての過酷な道程を、二世の人々の証言に構成した内容。戦前の日系人は経済的な影響力もあり、日本軍占領下でも積極的に協力したが、それが仇をなった。戦後は一転「敵の血を引く裏切り者」と弾圧され、ほとんどの人々は社会の底辺で暮らしている。日本は彼らを戦中は利用し、戦後は見捨てた。正にフィリピンの日系人達は棄民だった。フィリピンとの間に子供をもうけた元日本兵や、外務省の担当者の冷たい態度にも、彼らに対する視線の中身が感じられる。今も変わっていないだろう。2018/09/26




