内容説明
怪奇幻想小説の鬼才、倉阪鬼一郎初のクトゥルー短編集。デビュー当時の作品から一挙掲載。入手困難となっている幻の作品も多数収録に加え、書下ろし短編2作品および短歌、俳句、散文詩も掲載。
目次
混沌(インサイダー;異界への就職;便所男;七色魔術戦争;鏡のない鏡;未知なる赤光を求めて;虚空の夢)
彼方へ(白い呪いの館;常世舟;茜村より;底無し沼;イグザム・ロッジの夜;海へ消えるもの)
短詩型クトゥルー作品選集
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年生まれ。1987年短篇集『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でデビュー。ホラー、幻想、ミステリ、時代物などの小説を得意とし、俳人、翻訳家としても幅広く活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
57
クトゥルー神話短編集。最近は完全に別方向に行っている著者であるが、初期短編の選集とはいえ久々の怪奇小説である。発売も本邦でクトゥルー神話最後の孤塁を守る青心社というのが味わい深い。前半に収録されているのは第一短編集からだが、こちらは物語そのものではなく印象を綴ったような感じを受けた。言葉を積み重ねてイメージを描き出そうとしている気がするが、それを先行しすぎてわけわかんなくなった所も多々あり。中盤にかけての諸篇の方が取っ付きやすいかな。特に「底無し沼」には満足。久々に『百鬼譚の夜』を読み返したくなった。2017/08/06
sin
52
氏の筆業30周年に編まれたクトゥルー短編集、その存在は知っていたが稀少なデビュー作『地底の鰐、天上の蛇』に掲載のクトゥルー作品も納められている。怪奇幻想の情熱が先走った若書きの感が無きにしもあらずだが、最近手にした欧米の職業作家の中途半端な幻想潭よりも、オカルトへのいっそ清々しい探究心が好ましく感じられる作品に溢れている。2019/07/06
やんも
10
著者のクトゥルー神話関連短編を集めた1冊。今は時代小説がメインで、著者の神話関連小説は美術調律者シリーズでほぼ終幕した感がある。本書は第一短篇集など、初期の頃の作品がほとんどで、脳内に爆発したイメージをひたすら書き綴っており、ついてゆくのには息が切れる。自ら「若書き」と記しており、今なら「厨二病全開」と言われそう。また文字の配置による著者ならではの表現も懐かしく思う。2019/03/31
gu
5
クトゥルー神話というテーマに絞ってこれだけ多彩な作品集を作れることが驚き。終末の光景の美しさ、物寂しさに惹かれる。2017/07/05
hinata
2
闇の中で蠢く異形の物...私には合わなかった。2017/08/27