内容説明
最初の生命が地球に誕生してから、全生物の70~90%以上が死滅する大量絶滅は、わかっているだけでなんと5度も起こっているという。また世界の生物学者のうち約70%が、いま現在この地球上で大量絶滅が進行中だと考えている、とするレポートもある。本書では、5度にわたる大量絶滅がどのように起こり、生物がどう危機を乗り越えてきたか、また大量絶滅がもたらした生命の進化について検証する。
目次
第1章 古典的「進化」像の確立(地球はいつ生まれた?;ビュフォンとリンネ ほか)
第2章 進化とは本当に「生存競争」の結果なのか?(進化論の新たな視点;遺伝子の発見 ほか)
第3章 進化を進める要因としての大量絶滅(地質年代表;地球の歴史を概観する ほか)
第4章 大量絶滅の原因について考える(大量絶滅のメカニズム;天体衝突と大量絶滅 ほか)
著者等紹介
金子隆一[カネコリュウイチ]
1956年兵庫県神戸市生まれ。中央大学卒。サイエンスライター。生命史、宇宙科学、近未来技術など幅広いジャンルの著作をもつ。有限会社コンタクト主催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マルレラ
15
進化論に関する学説をふまえて、地球史において過去5回起こった生物の大量絶滅を時系列に沿って説明しながら、生物がその危機をどう乗り越えて進化してきたのかについて考察した本。 大量絶滅がおこった後、空いた生息環境の穴を埋めるようにその環境に適応した新い生物が進出してくる。絶滅の原因は、巨大隕石衝突説や超新星爆発の影響であるとする説などの宇宙規模の話まで諸説あるが、筆者は大量絶滅には周期性があり、マントル・プルームの周期的な浮上と関連があると主張していて、大部分は納得できるものだった。2022/10/28
テツ
12
科学的、生物的な専門知識は皆無だけれど太古の地球で起きた大量絶滅の話がとても好き。様々な要因で地球を闊歩する強い生物が死滅して空いた場所を新たな生物が占領していくことが繰り返され、地球に誕生した生命の種はこの瞬間まで延々と受け継がれてきた。個人の生と死。種としての生と死。そして遥か未来に必ず訪れる地球上の生命の滅亡。記されている新たな学説などを目にして感心すると同時に、偶然に依って(もしかしたら何か巨大な存在の意思によって)容易く滅亡してしまう我々が生きることにどんな意味があるんだろうと考えてしまう。2016/08/07
文章で飯を食う
9
はじめにで、ショウジョウバエの継代飼育により進化と思われる変化が示される。ショッキングなエピソードである。その後も進化と大量絶滅に対する、現在の多くの知見が語られる。知的な満足が得られて面白い。そして、最終章では大量絶滅の原因が追求される。今まで白亜紀末、恐竜絶滅の原因とされた隕石の衝突が主犯では無いとされる。もしかして、トドメの一撃かも知れないが、その前から、恐竜の滅びは始まっていたのだ。進化もすごいが、学問の進化のスピードアップもすごいものである。2015/06/28
鐵太郎
7
恐竜絶滅の原因は、約6500万年前に落下した巨大な隕石による地球環境の激変である、と言う説があります。物理学者ルイス・アルバレスとその息子で地質学者のウォルター・アルバレスの提唱したもので、今やほぼ例外なくこの説が人口に膾炙されて定説のようになっています。しかしそれが本当に正しいのか、という反論をメインにして、地球の歴史上起きた様々な生物の大量絶滅について解説したのがこの本。弱肉強食・適者生存が進化の流れではない。強い者が他を圧倒して生き残るのではない、など、いろいろと蒙を啓かせてくれる楽しい本でした。2010/08/26
塩崎ツトム
5
写真がむちゃくちゃ豊富で、一読しただけで「わかったつもり」になれるという、悪い意味で危険な本。自然選択と用不要説についての説明が怪しかったり、グールドと今西錦司の肩を持ちすぎて公平でなかったりと説明不足や独りよがりが目立つ。サイエンス・アイ新書って全部こんな感じか?2019/03/24