出版社内容情報
精神の障害及び弁識・制御能力という従来の観念的な議論を機能面で見直し、責任能力判断の実践に耐えうる実体要件の構築という、裁判実務からの理論的要請に応えることを目的とする。
竹川 俊也[タケカワ トシヤ]
著・文・その他
目次
序論 問題の所在
第1部 責任能力判断における精神鑑定人の役割(刑事手続における精神鑑定;連邦証拠規則704条(b)項をめぐる議論状況 ほか)
第2部 弁識・制御能力要件の再構成(弁識・制御能力の重なり合い問題についての議論状況;アメリカにおける議論状況 ほか)
第3部 「精神の障害」と刑事責任能力(アメリカにおける議論状況;「精神の障害」の判断基盤 ほか)
第4部 責任能力の認定手法について(問題の所在;総合判断定式における考慮要素の分析 ほか)
結論
著者等紹介
竹川俊也[タケカワトシヤ]
1989年愛知県に生まれる。2012年早稲田大学法学部卒業。2014年日本学術振興会特別研究員DC1。2015年ペンシルヴェニア大学ロースクール客員研究員。2017年早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員PD。博士(法学)(早稲田大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たろーたん
1
覚書。刑事責任の問題だと、弁識能力・制御能力の有無が重要になるけど、著者はそれよりも「理由応答性」が重要と指摘している。理由への問と応答から、当事者の弁識プロセスが標準から乖離しているかどうかを判断する。現在の司法だと、責任能力の有無は「違法と弁識できたか」「自分の行動を制御できたか」が要点になるけど、米国の神の命令事件のように、違法と分かっている(弁別してる)けど、子供たちを溺れさせないと彼らが邪悪になり、永遠に悪魔に苛まれるような事件は、責任能力がないだろう。(続)2022/10/31