ユダヤとイスラエルのあいだ―民族/国民のアポリア

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  • サイズ B6判/ページ数 345,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791763948
  • NDC分類 302.285
  • Cコード C0010

出版社内容情報

イスラエルの国家/国民の創設を問う。

内容説明

近代の国民国家思想・ナショナリズムに起因する「ユダヤ人」問題、シオニズム、そしてイスラエル国家について。矛盾する理念に思想はなにを問い、なにを問わずにきたのか。ネイションの世界的展開を再考する、かつてないユダヤ‐イスラエル論。

目次

「偽日本人」と「偽ユダヤ人」―あるいは「本来的国民」の作り方
1 「イスラエル」の原点―普遍性と特異性のアポリア(ユダヤ人国家か国民国家か―二つの独立宣言;ユダヤ人国家か二民族共存か―歴史としてのバイナショナリズムの挑戦;マルティン・ブーバーの共同体論と国家;ハンナ・アーレントと国家創設のプロジェクト)
2 「イスラエル」の現在―リベラリストたちの葛藤(ハンナ・アーレントの「沈黙」;ジュディス・バトラーの「躊躇」;アイザイア・バーリンの「矛盾」;エドワード・サイードの「格闘」)
イスラエル/パレスチナにおける国家理念の行方

著者等紹介

早尾貴紀[ハヤオタカノリ]
1973年生まれ。社会思想史研究。東京大学COE「共生のための国際哲学教育研究センター」研究員、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、東京経済大学非常勤講師、イスラエル・ハイファ大学ユダヤ‐アラブ・センター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kentaro mori

5
アーレント、ブーバー、バトラー、バーリン、サイードとシオニズムとの対峙。これだけ複雑/錯綜なシオニズム思想をまとめる手腕はさすが。特に、第六章「ジュディス・バトラーの「躊躇」」、第七章「アイザイア・バーリンの「矛盾」」が勉強になった。●パレスチナ問題は、つまるところ、パレスチナを利用しているシオニズムの問題だ。シオニズム国家としてのイスラエルが、あるいはイスラエルに住むユダヤ人が、なぜここまで「一方的に」(「一方的分離」に象徴されるように)振る舞うことができるのかが問題なのであって、それなしに「パレスチナ2023/10/26

ごる

2
ユダヤ人=イスラエル人なのではないのだなぁとか、まあ、いろいろ当たり前のことに気付かされた。つくづく国家って自明のものではないのだなと思わされた。2010/01/11

AMPELMANN

1
「二民族共存国家(バイナショナリズム)」のハンナ・アーレントとマルティン・ブーバーの両者の共通点と相違点が挙げられていたのと、イスラエル批判を主張するその他の論者(ジュディス・バトラー、アイザイア・バーリン、エドワード・サイード)の説明が明解だった。序章の日本とイスラエルの「帰還法」で、両国の共通するものを紹介したり、またイスラエルとアメリカの「独立宣言」の比較といった内容から、イスラエルの特殊性を見出すその論風がわかりやすい。2017/06/26

1
イスラエルは1948年に建国されたが、現在でもなお、民族、国民国家、アイデンティティ、法、支配、ユダヤ性など、様々に深刻な問題を抱えている。そうしたシオニズムやイスラエルを、それらについて論じた思想家たちを手掛かりに考えていくのが本書。第Ⅰ部においては二民族国家論を唱えたアーレントとブーバーの比較・検討、第Ⅱ部では建国後や現在のイスラエルについて論じたバトラー、サイード、バーリン、ボヤーリン兄弟らの検討が行われる。 ユダヤやイスラエルが抱える問題は、かなり普遍的・根本的なものなのではないかと感じた。2017/03/22

やまべ

1
いやぁ、面白かったです。やや現代思想系なので誰にでもお勧めというわけにはいかないけど、国家/国民/民族ってのは考えれば考えるほど難しい問題なのだなぁということがよく分かる。世界を代表するような知性が「ユダヤ人」のなかから輩出するという伝統は、イスラエル建国によって終わるのかもしれない、とも思える。著者が序章でのみ触れている、「日本/日本人」をめぐる問題意識という点でももちろん面白い。2014/11/19

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