内容説明
第四詩集『日月の昏姻』に発し、第六詩集『地中海の聖母』に展開された東西文明の相関と普遍の美学が、この詩集では変幻する月のイメジに託されて表現される。
目次
ローマの月
月の髪
ローマの廃墟
ティヴォリの水
ヴィラ・アドリアーナの石と薔薇
オスティア・アンティーカの月
イスキアの月
イスキアの雨
アプロディテの白い泡
ラヴェッロの冬の薔薇〔ほか〕
著者等紹介
小笠原茂介[オガサワラシゲスケ]
「火牛」、「亜土」同人。日本現代詩人会会員
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感想・レビュー
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今は亡き妹の面影を追い求め、地中海文明の遺跡を巡る詩人の幻視と夢想が綴られた詩集。ローマの薄明、ティヴォリの水、イスキアの雨、ティレニア海の白光、ラヴェッロの薔薇…そして全篇を通して女=妹の象徴たる月のイメージに支配されている。古代の神々の息吹、異形の霊たちの気配に満ちた異郷巡りによって恢復した妹の幻影は、エフェソスの月の女神、大地母神キュベレ、エジプトの女王、ヴェスタの巫女、ディオニュソスの信女…等々に仮託されるが、兄たる詩人/詩神の思いは信仰や崇拝によって聖化しきれぬ肉の情欲に悩み、それを謳いあげる。2020/01/19




