感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
8
ユングは「個体的」と「集合的」の別を採用する。その別は私的言語と言語ゲームと見ていいだろう。主体が主体たるには後者のゲーム、すなわち集合的なものを介さなければならない。それは生政治的な意味で個体的なものの抑圧になり、ユングは神経症の原因がそれであると考える。あるいは主観的現実と客観的現実という図式でもいいのだが、それはしかしアマルガムとしての心的現実性にしかない。以上を踏まえると、ユングの「個体化」とは、存在するものが体験しかないので、その体験の仕方を変えるという方向性になる。象徴はそのフックなのだろう。2016/05/14