出版社内容情報
日ざかりの砂山で、さびしいのら犬が出会った友だちはまぼろしだったのか。明るい南国の海辺を舞台に、ふしぎな出会いを描いた作品。
79BIB金のりんご賞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
169
過ぎ去ったあの長い夏を思いだす。じりじりと暑い日差し、影のない海辺。大きな青空の下で見つけた小さな友だちとの物語。砂浜の丘の上、麦わらぼうしに眠る少年のひととき。あついね。ねえ遊ぼうよ。あの白い鳥のように飛んでみたいな。もう会えないかもしれない、もしかしてと思わせる不安がよぎるのに、離ればなれになっても哀しみを感じない。この絵本を読み終えて最初から読み返してみると、のらいぬと少年が永遠の出会いと別れを繰り返して、その日常を懐かしんでいるように思えてくる。言葉は少ないけれど、何かを伝えたいと問いかけてくる。2023/12/02
シナモン
126
暑い日、のらいぬは夢をみたのかな。言葉少なめ。いろんな思いが残る。静かで幻想的な世界に浸れる一冊でした。2021/08/12
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
115
暑い日、砂山を彷徨うのらいぬが見つけたものは……。白昼夢のような絵物語。ずっと待っていたのかな。ずっと呼び続けていたのかな。嬉しかっただろうな。飛べ。いや飛べない。堕ちる堕ちる堕ちる。読み終わった後、突き放されたような気持ちになって、ちょっと途方に暮れた。のらいぬの姿はシルエットになっていて、表情は読み取れない。でも、これは希望の物語だと思う。諦めない。希望は決して捨てないというメッセージを受け取ろう。2016/07/06
masa@レビューお休み中
92
大きな空と砂とのらいぬと少年。余白がたくさんあるのに、寂しさを感じさせない。なんだろう…。もう忘れてしまった、子どもの頃の夏休みを思い出してしまう。短い言葉とできごとを描いただけなのに、懐かしさを感じる。いつか見たことこある光景に出くわしたような気持ちになるんだ。黒い犬ではなかったかもしれない。白い猫だったかもしれない。近所のお兄ちゃんだったかもしれない。たまたま公園で出会った子かもしれない。楽しくて、楽しくて、楽しいひととき。その時間は刹那だからこそ胸に刻まれるのかもしれない。2017/02/09
yumiha
43
これも『日本の絵本100年100人100冊』で紹介された本。絵本製作は「俳句みたいな感じ」と言っていた谷内こうた。どんなんやろ~。暑い日に砂山でみつけた友だち。いつかまた会えるかな?って、何にも俳句を感じなかった私💦出版された70年代なら、砂山に寝転ぶのもいいけど、昨日今日の暑さだと熱中症まっしぐらだなぁ。と、やはり俳句には遠い私。2024/07/18