内容説明
1848年出版の、エリザベス・ギャスケルが作家としての名声を確立した長編小説。激動するマンチェスターにおける労資間の問題等を克明に描き、「社会問題小説」として高く評価される。同時に、心の問題を深い洞察力で掘り下げ、「人間性探求の書」としても興味深い作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
56
労働者にもいろんな段階がある。食べるものに困ることなく何とか暮らしていける者もいれば、その日その日の食べ物に困っている者もいる。働くことに誇りを持っていたジョン・バートンの周囲には、あまりにも多くの死が溢れている。働く先を奪われ、信念はどんどん偏ったものとなり、信念のためなら暴力も辞さなくなっていくバートンの心の推移はあまりにも悲しい。このように悩み苦むジョン・バートンと、美しさを誇り金持ちの息子の声掛けにも舞い上がっている娘のメアリーは、同じ家に住んでいるというのに、なんと違っていることだろう。 2017/06/10