出版社内容情報
心理療法の中での言葉の機能と転機(治癒機転)についての詳細な論考。ベテランセラピストの臨床的経験則を精密に解読する。
心理療法において,セラピストの言葉はしばしばクライエントの抵抗にあい,クライエントの深部まで届き,クライエントを情緒的に動かす言葉とはなりにくい。一方で、セラピストの言葉がクライエントに届き,その言葉がきっかけとなって治療に何らかの転機が生じることがある。このときセラピストの言葉は,一体どのようにクライエントに届いて,そこでどのような変化が生じたのだろうか。……(本文より)
本書は,五人の立場の違うセラピストを対象にインタビューを行い、面接のプロセスを丹念に辿りながら,ベテランセラピストの臨床的経験則を詳細に解読するものである。
心理療法の共通要因とは? コミュニケーションの手段・シンボルとしての言葉が治療場面で果たす役割とは何か? セラピストの言葉の機能・使い方はどうすべきか,また,どのようにしてクライエントに変容が起こったか等,臨床場面で応用可能なさまざまな知見が全編に亘って展開されている。セラピストの言葉の機能に焦点を当てた,心理療法の効果を解明する画期的な試み。
□第1部 本研究の問題意識と目的・方法
問題提起
第1章 心理療法における言葉
第2章 心理療法における転機
第3章 二つの接点─言葉によって生じる転機
第4章 目的と方法
□第2部 セラピストのインタビューとその分析
─どのようにして変容が生じたか―
第5章 セラピストAについての分析
「飽和状態に,言葉という異物が入った途端,結晶が出てくるのですよ」山中康裕
第6章 セラピストBについての分析
「クライエントさんの健康な部分が,ぱっと開く瞬間なのかな」梅津和子
第7章 セラピストCについての分析
「人間は,言葉を使って触れ合っているわけね」濱野清志
第8章 セラピストDについての分析
「治療者がクライエントを見ているよりも,クライエントが治療者を見ている方が深いからね」塚崎直樹
第9章 セラピストEについての分析
「クライエントとセラピストは,人間として基本的にイーブンだということです」村?P嘉代子
□第3部 各セラピストによる心理療法の共通要因とその比較
第10章 言葉によって生じる転機についての考察
1 仮説モデルの生成─セラピストの共通要因から/?U プロセスに寄与する要素―セラピストの比較を通して
内容説明
五人の立場の違うセラピストを対象にインタビューを行い、面接のプロセスを丹念に辿りながら、ベテランセラピストの臨床的経験則を詳細に解読。心理療法の共通要因とは?コミュニケーションの手段・シンボルとしての言葉が治療場面で果たす役割とは何か?セラピストの言葉の機能・使い方はどうすべきか、どのようにしてクライエントに変容が起こったか等、臨床場面で応用可能なさまざまな知見が全編に亘って展開されている。
目次
第1部 本書の問題意識と目的・方法(心理療法における言葉;心理療法における転機;二つの接点―言葉によって生じる転機;目的と方法)
第2部 セラピストのインタビューとその分析―どのようにして変容が生じたか(セラピストAについての分析「飽和状態に、言葉という異物が入った途端結晶が出てくるのですよ」―山中康裕;セラピストBについての分析「クライエントさんの中の健康な部分が、ぱっと開く瞬間なのかな」―梅津和子;セラピストCについての分析「人間は、言葉を使って触れ合っているわけね」―濱野清志;セラピストDについての分析「治療者がクライエントを見ているよりも、クライエントが治療者を見ている方が深いからね」―塚崎直樹;セラピストEについての分析「クライエントとセラピストは、人間として基本的にイーブンだということです」―村瀬嘉代子)
第3部 各セラピストによる心理療法の共通要因とその比較(言葉によって生じる転機についての考察;「言葉と転機」への逆照射を試みる―筆者のささやかな体験を交えつつ)
著者等紹介
山尾陽子[ヤマオヨウコ]
福岡生まれ。九州大学文学部卒業。京都大学教育学部三年次編入、同大学卒業。東京大学大学院修士課程教育学研究科卒業。臨床心理士。精神科つかさき医院スタッフ、東洋公衆衛生学院講師を経て、現在、精神科白峰クリニック・錦糸町クボタクリニック勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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