内容説明
自然界には、ときたま、途方もない出来事が起こる。そうした事件を昔から人びとは天変地異とか、カタストローフなどと呼び、別格扱いにしてきたものである。予測できない、手に負えぬなにか不可抗力のような存在、と思われてきた。本書でそうした自然界の大変動を取り上げた理由は、次のような考えによる。「その時―」、普段私たちには容易にうかがい知ることのできない自然の姿―本性といったものが垣間みられるように思われるからである。日常的には容易に体験できない営みを通して、これまで立ち入ることのできなかった自然の聖域に踏み込んで、その仕組みなり、構造とか、意外な関連性やら次元の認識、あるいはヒエラルキーの存在、ときには自然のリズムのようなもの、などを理解する手がかりが得られるからである。そしてまたある日、古老たちが語り伝えた他愛ない昔話や伝承が、にわかに生彩を帯びてよみがえってくる。自然の稀な演技を理解し、そこからなにがしかのメッセージのようなものを手に入れたいというのが、本書のささやかなねらいでもある。
目次
第1章 イタリアの火山の展望
第2章 燃える大地
第3章 世界は乳液の海に呑まれて
第4章 古代の伝承は生きていた
第5章 白き支配者は去った
第6章 引き裂かれた高地マヤ
感想・レビュー
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康芳英
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エトナ山やベスビオ山などのイタリアの火山概要、カムピ・フレグレイ(イタリア)、1991年のピナトゥボ火山噴火(フィリピン)、1986年ニオス湖ガス突出事件(カメルーン)、1902年スフリェール山噴火(セントビンセント・グレナディーン)、1976年グアテマラ地震という5つの章からなる本。真ん中にある3つの火山災害の話は面白いのだけれど(特にニオス湖ガス突出事故)、前半が紀行風イタリア火山解説だったり、最後が地震災害の紹介だったりと、今一つまとまりがなくて、全体的には今一。2012/05/10