内容説明
満州に取り残された軍国少年はやがて、自ら志願して中国人民解放軍の兵士となった―満州で敗戦を迎え、帰還の願いもかなわず寒村で暮らし始めた日本人一家。極貧の一家を背負う元軍国少年・砂原恵は、日本人であることを隠し、「中国人として」八路軍(=中国共産党軍)に入ることを決意する。恵は身も心も中国に捧げ国共内戦を戦い、朝鮮戦争に出撃するが、上層部に日本人であることを知られてしまう。激動の時代を生き抜いた中国残留日本人、衝撃の実話をもとに描かれた真実のストーリー。
著者等紹介
土屋龍司[ツチヤリュウジ]
1951年静岡県裾野市生まれ。1975年防衛庁入庁。在英大使館参事官、防衛庁国際企画課長、防衛庁人事第一課長。大阪防衛施設局長、札幌防衛施設局長等。2006年防衛庁退職、会社勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とんこつ
6
引揚者や、残留孤児として中国から帰国した人たちの話は聞いたことはあるが、戦後の混乱のなか現地に残り、そのまま八路軍の一員となって、国共内戦や朝鮮戦争に参加した日本人がいたことは初めて知った。思想教育を受けたわけでも、転向したわけでもなく、1945年8月15日以降の混乱のなかで、中国東北部の小さな村で家族とともに生き残り、主人公たちは少しずつ村人に受け入れられていく。そこには単純な美談はない。ありったけの智慧をしぼり、それを強かに受け止めていく現地の人たちの姿から、なんともいえないリアルさを感じた。2021/04/24




