近代数寄者の茶の湯

近代数寄者の茶の湯

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  • サイズ 46判/ページ数 266p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784761100858
  • NDC分類 791.2
  • Cコード C0076

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ムカルナス

10
近代数寄者とは明治以降に政財界で活躍し築いた富で美術品を収集し、邸宅や庭園を造営し茶会を催した人々のことであるが、単に復古趣味だったわけではなく自らの美意識で敢えて国宝級の書画を分割して飾る、壺を割って風情を楽しむなど前衛的な面もあった。そういう革新性は戦国時代にもあったが徳川政権が確立すると許されなくなっていく。戦国や明治維新のような下剋上の変動期には躍動する国家に文化も同調する。翻って現代日本はダイナミズムが失われ閉塞感が漂う。数寄の精神が失われつつあると著者は嘆く。2023/06/02

Mayu

5
熊倉先生の本初読み。茶道関係の本は挫折が多いので^_^;覚悟して読み始めましたが、とても読みやすく、面白くて、最後まで楽しく読めました。主軸となる高橋箒庵が、水戸の貧乏な武家の出身でありながら、学問によって認められ、自分がこれと思う道を切り拓いていく姿がとても気持ち良かったです。数寄者に纏わる悲喜こもごもがとてもドラマチックに描かれていて、扱っている器物はとんでもない宝物でありながら、その精神性には少年たちが遊びに没頭するような純朴さを感じました。美術館でみた道具にこんなエピソードが、という発見も。2015/09/16

Kuliyama

0
楽しく拝読しました。数寄者のお茶に憧れます。2017/06/20

さんとのれ

0
主と客が互いの感性を試しあう茶会はほとんど戦いのようだが、それでもあくまで趣味にすぎないと一歩引いて楽しむ心も持つ近代の数寄者たち。金にものを言わせ名器を買い漁る様が紙一重のところで下品にならないのは、それが見栄や功名心による行為でなく、美に取りつかれてもっと知りたい、追及したい、という純粋な気持ちから生まれる欲求だからだろう。我儘我儘とつぶやきながら息を引き取る人の目にその人生はどう映っていたのか、自分には想像もつかない生き方をする人たちの人生は興味深く、読み終わってしまうのが惜しかった。2013/11/06

秋津

0
名物茶道具の目録『大正名器鑑』の編纂者高橋箒庵を中心に、近代日本の数奇者についてまとめられた書。移り変わる時代の中、「美」に対して彼らがどう振る舞ってきたかを想像させます。高橋箒庵でいえば、その思想や行動に、高野山霊宝館(宝物館)建設や護国寺再興の中心となるなどの、社会に対する貢献という「公」の側面と、「茶の湯というがわまま(ママ)な楽しみを趣味とし、趣味こそ至上のものであるという主張」(本書より)に表される「私」の側面をバランス良く併せ持ち、それに基づいて我を貫き通したところに彼(及びその他の数奇者達)2012/12/20

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