出版社内容情報
同じ海を、日本では「日本海」と呼び、韓国では「東海」と呼ぶ。東西の古地図を探ると名称がないもの、「東海」「北海」「日本海」など様々な名称で呼ばれたものが混在する。21世紀の今、この海をどう呼ぶべきか。古地図、地理教育の歴史をさかのぼって検証する。
日本語版の刊行にあたって[中山修一]
まえがき
序章 地名と紛争の物語
1 地名の発生と機能
2 地名の政治性と論争
第1章 不都合の始まりと紛争
1 国際社会と地名標準化
国際水路機関
国連地名標準化会議
2 韓国の東海地名回復運動
東海地名に関する論議
なぜ東海地名なのか
地名の併記問題
3 不都合な東海と日本海
日本と韓国政府の論争点
ナムジュン・パイクの日本海表記展示作品の撤去騒動
鳥取県日韓友好交流碑文の東海地名削除
北京オリンピック閉会式の日本海表記騒動
東海と日本海表記製品の不買及び回収
アメリカによる日本海単独表記意見の提出を巡る波紋
ドイツにおける韓国人と日本人観光客の地名紛争
第2章 韓国の伝統地名の東海
1 古文書にみられる東海
東海地名の発生
広開土大王陵碑文の東海
文武大王陵の東海
文学作品の中の東海
2 朝鮮時代の古地図と東海
朝鮮全図の東海
地方海図の東海
関防地図の東海
万国全図の日本海と東海
第3章 日本の伝統地名と外来地名
1 伝統地名の発生
日本書紀に登場する最初の北海
住民たちが常用した北海
2 19世紀前後に登場した外来地名
最初に地図に表記された日本内海
最初の朝鮮海表記古地図
最初の日本海表記古地図
3 19世紀前半の官撰古地図と地方地図
官撰日本辺界略図の朝鮮海
官撰新訂万国全図の朝鮮海
官撰古地図の影響と朝鮮海
地方地図の北海
4 19世紀半ばの官撰古地図と日本海
官撰古地図改訂の背景
官撰重訂万国全図の日本海
5 19世紀後半の古地図における朝鮮海と日本海
朝鮮海表記の地球儀と古地図
日本列島東側の海に表記された日本海
一つの海域に表記された二つの海の地名
第4章 西洋において呼称された様々な外来地名
1 年代別の海の地名表記の傾向
2 16世紀後半の未知の東アジアと外来地名
中国南部の地域名称に起源を持つマンジ海
日本列島東側の海に表記された最初の日本海
中国の国号に起源を持つ中国海
海の名称がない古地図
3 17世紀以降のこの海域の様々な外来地名
この海域に表記された最初の日本海と日本北海
韓国の国号に起源を持つ最初の韓国海と韓国湾
西洋と対比される東方の東洋海
ユーラシア大陸東側の海を指す東海
東モンゴル人の地域名称に起源を持つタタール海
一つの海域における二つ以上の海の地名
一つの海域において東洋海・日本海などが併記された地名
4 19世紀前後の西洋人の東アジア進出と日本海の拡散
ラ・ぺルーズの探検と日本海
クルーゼンンシュテルンの探検と日本海
シーボルトの日本研究と日本海
第5章 近代の地理教育における日本海と東海
1 日本の地理教科書における北海と日本海
明治時代の全般的な傾向
明治初期の伝統地名の北海
明治初期の外来地名の日本海
文部省刊行の地理教科書と日本海
19世紀末の地理教科書と日本海
20世紀初頭の日露戦争と日本海地名の定着
2 韓国の地理教科書と東海地名の受難
日韓併合以前までの全般的な傾向
外国人宣教師が著述した韓国初の地理教科書と日本海
国が編纂した最初の地理教科書と日本海
第二次日韓協約以降の統監府の学部への関与と日本海の強固化
忠君愛国を願う愛国歌の登場と東海
問題意識の先駆者としての玄采による国語読本の執筆
玄采の意識を継承した子・玄公廉の地図製作
民間の地理教科書に見られる朝鮮海、大韓海、併記地名
日本海を卑下するウサギの形の地図表現
植民地朝鮮における朝鮮総督府の日本海標準化とアイデンティティーの強要
戦後における韓国独立の象徴としての東海
終章 終わりなき地名の物語
1 韓国人が好む韓国海
2 第三の海の名称
3 東海・日本海の併記
参考文献
地図及び写真の出典
東海・日本海地名年表
あとがき
沈 正輔[シム ジョンボ]
著・文・その他
目次
序章 地名と紛争の物語
第1章 不都合の始まりと紛争
第2章 韓国の伝統地名の東海
第3章 日本の伝統地名と外来地名
第4章 西洋において呼称された様々な外来地名
第5章 近代の地理教育における日本海と東海
終章 終わりなき地名の物語
著者等紹介
沈正輔[シムジョンボ]
1969年慶尚北道尚州生まれ。忠北大学校師範大学地理教育科卒業。広島大学大学院国際協力研究科(教育学博士)。果川女子高等学校講師。晋州教育大学校研究教授。東北亜歴史財団研究委員。現在西原(Seowon)大学校師範大学地理教育科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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