出版社内容情報
途上国のエイズに、先進国は無関係ではない。ウィルスのみではなく、貧困、構造的不平等、植民地主義の残滓もまた、この病を拡大している。本書は、貧困国のエイズ問題になぜ地球規模で取り組まねばならないかを、10の俗説に反駁する形で証明する。
謝辞
はじめに
序文
HIV/エイズの基礎知識
俗説1 エイズとアフリカ
俗説2 危険行動
俗説3 腐敗
俗説4 予防か治療か?
俗説5 貧困国におけるエイズ治療の障害
俗説6 ワクチン
俗説7 「製薬企業の利益」対「貧困層の健康」
俗説8 限られた財源
俗説9 得るものは何もない
俗説10 できることは何もない
結論
訳者あとがき
行動のための情報源
原注
訳者あとがき
本書の翻訳をさせていただくきっかけになったのは、明石書店の『エイズ事典』(二〇〇五年刊行予定)の翻訳に参加したことだった。特に医学の専門知識もなく、エイズに関する本すら読んだことがなかった私は、友人に借りた「生物」の専門書や、分厚い医学事典と首っ引きで(もちろん、インターネットも大いに活用し)、「CD4細胞」やら「日和見感染」などという言葉と格闘した。そのおかげで、感染のしくみや症状に関する知識は多少身についたが、その時点ではまだ、エイズは私にとって、無関係の遠い世界の話でしかなかった。
それが今回、「とくに途上国のエイズについて、国際経済・政治・歴史の観点から論じた、ユニークな本」として翻訳のお話をいただき、初めて内容を目にしたとき、自分の浅薄さを痛感した。本書は、途上国で起きたエイズの感染爆発を、そのライフスタイルやインフラの未整備のせいにする先進国に対し、反駁する形でまとめられたものだが、誤った社会通念として挙げられている一〇項目は、いずれも思い当たるものだったからである。
八〇年代初頭に初めてエイズが報道された頃、私たち一般人には、「男性同性間の性交渉」で感染する「致死的な病
目次
俗説1 エイズとアフリカ
俗説2 危険行動
俗説3 腐敗
俗説4 予防か治療か?
俗説5 貧困国におけるエイズ治療の障害
俗説6 ワクチン
俗説7 「製薬企業の利益」対「貧困層の健康」
俗説8 限られた財源
俗説9 得るものは何もない
俗説10 できることは何もない
著者等紹介
アーウィン,アリグザンダー[アーウィン,アリグザンダー][Irwin,Alexander]
ハーバード大学医学部のInstitute for Health and Social Justice(保健と社会正義研究所)およびProgram in Infectious Disease and Social Change(感染症と社会変革プログラム)のリサーチ・アソシエイトを務める。また、ハーバード大学のアムハースト・カレッジ(Amherst College)で宗教学の教鞭も執った
ミレン,ジョイス[ミレン,ジョイス][Millen,Joyce]
Institute for Health and Social Justiceのディレクターであり、ハーバード大学医学部社会医学教室のリサーチ・アソシエイト。公衆衛生と国際関係の学士号を持つ医療人類学者。西アフリカに数年滞在し、民族医学と疫学に関して広範囲にわたる研究を行なった
ファローズ,ドロシー[ファローズ,ドロシー][Fallows,Dorothy]
感染症と国際関係の分野を研究する分子生物学者。コロンビア大学において、レトロウイルスおよびヒトB型肝炎の逆転写の仕組みを研究し、Ph.D.を取得。また、ロンドン大学衛生熱帯医学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine)で、感染症対策に関する研究で学位を取得した
八木由里子[ヤギユリコ]
1966年生まれ。上智大学外国語学部卒業。出版社勤務を経て、現在は大学教授秘書をする傍ら、翻訳を行なう
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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しぐ
Mitsuki Fukuda