出版社内容情報
アヘン戦争を契機に、詳細な海外情報の必要性を痛感した江戸幕府は、従来の風説書に加えて詳報「別段風説書」の呈上をオランダに要請した。全国各地に残存する写本を厳選して年代順に掲載し、幕末期の対外政策や政治判断の材料となった史料の全貌に迫る。多角的な視点からの論考を収めた研究篇を付し、『和蘭風説書集成』刊行後の渇望をいやす。
目次
総論1 オランダ別段風説書解説
総論2 別段風説書写本の所在状況について
史料篇(天保十一庚子年(一八四〇)別段風説書長崎訳
天保十二辛丑年(一八四一)別段風説書長崎訳
天保十三壬寅年(一八四二)別段風説書長崎訳
天保十四癸卯年(一八四三)別段風説書長崎訳
弘化元甲辰年(一八四四)七月別段風説書長崎訳 ほか)
研究篇(江戸時代の海外情報―鷹見泉石の情報活動;オランダ別段風説書―その公的回覧と私的書写;徳川慶勝筆写の嘉永四・五年別段風説書と黒田斉溥の嘉永五年対外建白書―別段風説書と雄藩大名の海外情報の認識再考;『別段風説書』はいかに参照されたか―神奈川県立歴史博物館所蔵「阿部家資料」を事例として;別段風説書のなかのヨーロッパ―一八四八年革命を中心に ほか)