内容説明
第一次世界大戦後の東アジア国際政治においては、アメリカの理念外交、ソ連のイデオロギー外交、中国の革命外交など、新外交が錯綜し始めていた。現代国際政治の幕開けともいうべきこうした状況に対して、原敬や幣原喜重郎、田中義一などの外交指導者に率いられた日本は、懸命の適応を試みた。第一次大戦終結から満州事変に至る「戦間前期」を通じての、国際変動と日本の選択とはいかなるものであったか。新進気鋭の外交史家が、日米英はもとより、中国や旧ソ連の外交文書をも用い、極めて実証的に新解釈で描く。
目次
序論 戦間期東アジアにおける「4つの国際変動」
第1章 「国際変動の第一波」と原外交―原内閣期(1918年9月‐1921年11月)
第2章 ワシントン体制の成立と「国際変動の第二波」―高橋、加藤、山本内閣期(1921年11月‐1924年1月)
第3章 中ソ新動向と第一次幣原外交―清浦、加藤、若槻内閣期(1924年1月‐1927年4月)
第4章 国民政府の成立と田中外交―田中内閣期(1927年4月‐1929年7月)
第5章 第二次幣原外交と「国際変動の第三波」―浜口、若槻内閣期(1929年7月‐1931年12月)
結論 国際変動と政策潮流
著者等紹介
服部龍二[ハットリリュウジ]
1968年東京都に生まれる。1992年京都大学法学部卒業。1997年神戸大学大学院法学研究科単位修得退学。専攻は東アジア国際政治史。千葉大学大学院社会文化科学研究科助手を経て、現在、拓殖大学政経学部講師。博士(政治学)
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感想・レビュー
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バルジ
3
本書は第一次大戦後の東アジアを舞台に日米英を中心とするアクターにソ連・中国を新たなプレイヤーとして迎えた秩序がどのように各国の外交的相剋を生み出し「ワシントン体制」崩壊へと至ったかを論ずる。本書での原敬の政治指導の評価は高く、国内的要請と国外的要請を上手く調和させたと評価する。しかし原敬の路線は東アジアにおいてプレイヤーが米英2カ国で収まっていた時点のものであり、ソ連・中国の参入は新たな外交路線の模索を必要足らしめた。幣原外交はその位置付けで理解されねばいいのならない。2022/11/29
Dヨッシー
0
流し読みしました。第一次世界大戦からワシントン体制の崩壊までの経過が詳細に分析されています。ワシントン体制においても中国とソ連のアクターが重要であったことを学べかなと思います。また、幣原路線と重光路線の対立もキーポイントです。正直、この本は難しいです。まだ、理解不足です。2018/05/06




