出版社内容情報
「レゲンデ」連作と短篇2。迫害下にあったユダヤ人の運命とその精神の純粋さを描く感動的作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中将(予備役)
2
1961年刊の全集第4巻。短編集。ツヴァイクは歴史小説の印象が強いが、「チェスの話」は、晩年の同時代を描いていて珍しく感じた。困難な時代だからこそチェスにのめり込んでいく様が不気味で面白かった。オーストリア名家のB博士にはツヴァイクの何かしらが投影されていそうだが、チェスしかできないチェントヴィッツがユーゴスラビア出身なのも何か意味があるのかもしれないと邪推したくなる。「永遠の兄の眼」は、罪なく生きる困難を、インドに舞台を置いて描いていて重かった。2023/07/31
うさこ@うさぎ部
0
映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』の原作「チェスの話」が読みたくて、千代田区立図書館で借りてみた。どの物語も素晴らしく、特に「永遠の兄の眼」は、主人公ヴィラータが自分の分身ではないかと思うほど、共感できた。「不安」は不倫の物語だが、こんな終わり方ある!?と驚愕のエンディング。「埋められた燭台」も感銘を受けた箇所があまりに多く、この物語に出会えたこと、いや、ツヴァイクという作家に出会えたことにただただ感謝。2023/10/09