出版社内容情報
楚軍・項羽台頭!楚と結んだ劉邦は次々と秦の城を攻め落とす。しかし、その指導者・項梁の死報が届き……物語は怒濤の展開へ!
内容説明
民に推され沛県の令となった劉邦は、近隣の県を平定しながら勢力を拡大していく。行軍中に名軍師・張良との出会いがあった。楚と結んだ劉邦は項羽と共に秦の城を攻め続けるが、戦地に衝撃の一報がもたらされ…。物語は怒涛の展開へ!
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、愛知県蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。平成3年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞した。続いて5年『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、12年には司馬遼太郎賞、13年『子産』で吉川英治文学賞、16年菊池寛賞を受賞。18年紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
194
豪放磊落な劉邦が、さらに 成長していく様を描く。 秦の暴政を正すため、良き 参謀に恵まれた劉邦の あり様は、清々しい。 参謀張良の参画、そして 宿敵項羽の登場…劉邦視点 のものであるために、項羽 の描写がつれないのが 寂しいが、この物語どう 集約させるのか、下巻が 楽しみである。2015/09/19
hiro
103
「劉邦と項羽」の劉邦の物語。中巻となり、項羽が登場して面白くなるが、読むにあたっては登場人物が多くて覚えきれず、地図もあるが登場する場所がイメージできず、さらに現在使わない言葉も多いのが難点だ。物語の方は、劉邦の実績と人柄が劉邦のもとに人を集める。そして劉邦は集まった人の才能を活かし、一部の者を偏重することなく、組織の風通し良くして人を使う。劉邦は人の上に立つ者の見本のような人物だ。この劉邦がどのように項羽を倒して皇帝になるのか。そして、皇帝となってもその人柄に変わりないのか。そこが知りたくて下巻に進む。2015/09/12
巨峰
69
沢山のifもしもということを考えてしまった。項梁が死ななければ・項羽が劉邦とともに出陣していれば・楚の懐王が一誠の足りない宋義を重用しなければ・・・非常に興味深く読んだ。劉邦は大王朝を築くわけでやはり抜きんでて優れていたんだなあと思う。そして、宮城谷さんの描く項羽は良質なところのある若者ですね。彼の中の哀しみや弱さを包み込めるような大人が(劉邦を除いては)いなかったのがかなしい。2015/06/17
キジネコ
41
回転する時代の核、戦雲を巻く天星劉邦の周辺に異能の衛星たちが引き寄せられる中巻、勝つ事に奢らず、敗れる事に消沈せず無限の度量が秦末の中華を照らします。虐げられた民を救いたいと行動する劉邦に対し、名門の血胤項羽、誇りと無骨剛直の巨星、恐怖のカリスマが対極の星として輝きを放ち始めます。項羽が劉邦に見せる親愛がやがて迎える破綻の時、決戦の構図に浮かぶのは滅びの美を体現する男への弔意なのかもしれない。下巻に どの様な顛末が準備されているのか?本書の余韻を暫く味わい 次に歩を進めたい。相変わらず言葉が胸を打ちます。2015/09/12
シュラフ
35
組織人の運と不運は、組織の中で誰と出会うかという運命による。大企業でいえば、みな優秀な大学を卒業してるのだから個々人の能力差などない。自分の能力を引き上げてくれる上司との出会いという幸運もあれば、その逆もある。「のちのことを想えば、劉邦軍には異才が多かった。が、人の才能は、人との出会いによって活かされもし、殺されもする。」というのはその通り。劉邦によってその才能を開花させた男たちは幸運であり、その部下の力によって数々の難局を乗り切っていく劉邦という男はマネジメントの本質を理解していた男だったのだろう。2017/04/16