出版社内容情報
美しい物を愛すアメリカ人のアレックスは、日本文化に傾倒するあまり、終戦後、通訳として来日。ある日少年に財布を盗まれそうになるが、その驚くべき美しさに惹かれ、彼を自分好みに育てることに…。 2015年11月刊。
内容説明
終戦後、家族も記憶も失くし生きるのに必死だったところを、アメリカ人の翻訳家・アレックスに拾われたノエル。アレックスは、人間に興味がなく、美しいものだけを愛す変わり者ではあったが、ノエルは自分に名前を与え、光ある温かい世界へと救い出してくれた彼こそが神だと心酔し生きてきた。本能的に彼の望むように振る舞う癖が身についていたノエルだったが、成長とともに、アレックスの理想である「美しく無垢なノエル」と本当の自分がかけ離れていくのを感じ苦しむようになり…。クラシカルダークロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そらねこ
32
丸木さんにしては大人しめだったけども、やっぱり現代に紫式部はヤバイ。まぁ、現代といえども戦後の混乱期ですから、子供一人いなくなっても大丈夫だったんでしょうが、子供拉致って好みに育てて美味しく頂きま~す!したら犯罪だよね~|д゚) その淫靡さがもう少し出てたらもっと美味しかったな ←変態 16まで我慢したからね…許せる?ここまではノエルが憐れ…と思わないでもなかったけど、ちゃんと最後にこのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしてくれる発言もあったし、じゃぁハッピーエンド♡だわ♡って持ってくあたり、丸木先生偉い!2017/08/21
めめめ
18
黒いクリスマス。予想よりはドロドロではなかったし、本当に狂ってる(いい意味で)のはあっちの人でしたか…。口絵、泡立つ粘液がとてもエロい。2017/09/17
リリー
18
この作家さんの既読作品で、1番小説らしい作品だったように思いました。丸木さん×門地さんなんてどんなにえろえろかと思いきや…意外でした。舞台は戦後の日本、ジャポニズムマニアの米国ボンが、源氏物語の紫の上よろしく自分好みの日本男児を育てる話。ノエルと名付け、聴いて良い音楽はクラシックだけ、外出は自分と一緒でなくてはダメ…と、掌中の珠のごとく育てていきます。ノエルがただアレックスを盲信するのでなく、この関係性に疑念を常に持ってるあたり良かった。最後にチクリとした要素を出してくるのが丸木さんらしかったです。2016/06/17
きなこ
17
光源氏のように自分好みに少年を育てる執着攻め…と思いきや受けのノエルもなかなかしたたかだったという話だったが、思ったよりあっさり。2人で堕ちていくようなドロッとした感じがなかったなぁ。2015/11/30
辺辺
15
源氏物語をモチーフにBでL風にアレンジしたお伽話。丸木さんらしいね。けど、今回はあまり好みな話ではなかった、というのが正直な処。攻も受も結局の処、物凄く「エゴイスト」な処に面白さを感じる以外、惹かれるようなものがなかった。攻の心情と言動が割と分かり易くて、そのおかしな妄想っぶりも病みっぷりもツボった(笑)のだが、受の心情と言動がいまいちくどくて理解に苦しむ。(いや~なずる賢いガキだなという印象しかなかった)。いつものように、脇キャラに感情輸入しやすい体質の所為か、彼のように狂った二人から逃げたくなった。2015/12/05