内容説明
「人のために何かするって、どうしてこんなにうれしいんだろう」不登校の小学生・理沙と、戦時下を生きる雪子。時代を超えて結ばれた二人の友情。心に響く感動の最新作。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
山梨県生まれ。コピーライターを経て『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞を受賞。『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
56
小学6年生の理沙は不登校になり、離婚した母親と一緒に田舎に引っ越してきた。だけどデブと言われ新しい学校にも行きたくない。ある日、プチ家出をして母親の携帯電話を石垣の穴に携帯電話を隠したら、昭和19年の戦時中の少女、雪子と繋がってしまった。理沙は雪子にお菓子を送ることにする。現代の少女と戦争中の時代の少女の交流。▽すごく面白かった。2019/07/03
まる
50
児童書なので短く、あっという間に読み終わりましたが、感動できました。戦争の悲惨さの伝わる話ではあるのですが、基本が現代のためわかりやすく、子供でも入りやすいと思います。主人公が食べ物を大切にし、日々を楽しく過ごせるようになって良かった。結末もあたたかく、ほっこり。主軸は戦争は二度と起こしてはいけない、というところではなく、食べ物を大切に、というところですね。私もいい年して惰性でだらだらお菓子を食べることがあるなあと反省しました。感謝の気持ちを忘れず、毎日を大切に生きていきたいものです。2016/02/11
スノーマン
33
正直、感動!まではいかないんだけど(笑)ほんわかとした温かい気持ちになった。複雑な家庭、太り気味、ひねくれ気味の六年生女子が自然と変わっていくのはやはり嬉しい。誰かに喜んでもらう喜びを知るだけで変われるかといえば簡単にはいかないのが現実やろけど、少なくとも、たくましくはなれそうな気がする。食べ物や平和の大切さをさりげなく現代っ子に伝えるには、これくらいのさじ加減が良いのかな。2016/11/04
あつひめ
30
いつの間にか自分を殻の中に閉じ込めて自分でもどうしようもなくなってしまた少女。戦争中、自国の勝利を信じ切ないまでにお国のためを願う少女。小さな穴が二人を繋げる。自分の知らない世界を知り自分よりもかわいそうな子がいることで自分にできることを模索する。情けを掛けるとは違う感情が心の中に膨れることで今までの自分の環境とかいつも人のせいにしていたこととかいろんなことが変化し始める。今の時代に生きていること、それには先輩方の築き上げたものの上に積み重なっている。爽やかな読後感。こういう物語。もっと書いてほしい。2011/05/08
なつぼんやさん
27
主人公目線で、文字数も多くなくて読みやすかった。でも、すごく心に残った本だったと。食べ物を味わって、食事への感謝を忘れないことは、ダイエットとか生活習慣とかそういう問題ではなく私たちの義務というか、当たり前のことだと思う。今日は8.6、広島に原爆が落ちた日。遠い過去のことのように思えるけど、同じ日本というすごく近い場所で起こったこと。逆にいえば遠い場所でも同じ'今'を生きている人で戦時中と同じような、それよりひどい環境にいる人がたくさんいる。リサちゃんのように秘密の穴からスイーツを届けれたらいいのに。2014/08/06