内容説明
太陽黒点の異常による気候の激変は、列強の食糧危機を招いていた。ヨーロッパでは、豊作と噂されたポーランドへソビエトが電撃侵攻する。同じように穀物事情が逼迫するアメリカは何としてでも、比較的被害の少ない中国の麦や大豆を早急に手に入れねばならない。ただ、それは日本ならびに英国の利害と真正面から衝突した。1940年(昭和15年)3月5日―。ソ連潜水艦の攻撃を九七式艦攻の雷撃によるものと誤認したことから、米アジア艦隊は日本のインド洋艦隊と武力衝突に至っていた。かくして、アジア艦隊は潰滅的な打撃を被ったうえ、指揮官であるハート大将を失ったため、指揮系統に大混乱を来した。妖光に魅せられたように、新たな誤解がさらなる混沌を導こうとしている。