内容説明
湯潅とは、死体を洗い、化粧をほどこし、仏衣を着せて旅立ちのための“ご遺体”にする儀式のこと。かつてCM業界で活躍した著者は、バブル崩壊による倒産に見舞われ、紆余曲折のすえ、湯潅サービスの起業にたどりついた。以降十年、出会ったご遺体はかれこれ四千体―。死者を抱き、洗い続けること。そこからみえる、現代の死生の姿とは。
目次
序章 四十九歳の誕生日、私は初めて遺体を洗った
第1章 CM制作会社社長から湯潅師へ
第2章 湯潅サービスを起業する
第3章 記憶に残る特別なご遺体
第4章 妻は語る
第5章 四千体の手応えと、来し方行く末
著者等紹介
熊田紺也[クマダコンヤ]
1946年京都生まれ。独協大学中退後テレビCMプロダクションに入社、制作進行に携わる。30代で独立するが、バブル崩壊で倒産。借金返済のため、シルバー入浴サービスなどを経て湯潅業を起こす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
36
☆☆☆☆ 湯灌師は大変だけれども尊い仕事だと思った。常に死者や遺族への気遣いが出来る湯灌師夫婦を尊敬した。時には惨い状態の遺体(飛び降り、焼死、溺死など)があるにもかかわらず、責務として向き合う姿勢がすごい。入浴したまま死ぬと腐乱しやすいというのは肝に銘じたい。2022/01/25
ようはん
21
遺体を湯灌するというのは祖父の葬式で初めて見た記憶があるが、葬儀社の専属という訳ではなく著者のように独立して依頼に応じるというケースもある。しかし事故や自殺した遺体の処理までしなくてはならないのケースも多く、本に描かれたそうした遺体の生々しい描写は読んでいて精神的にくる。尊い仕事ではあるが自分ならギブアップしてしまうだろう。2024/07/30
あや
16
映画おくりびとをきっかけに、死者の見送りに携わる納棺師という職業を知りました。この本では納棺師と同じく死者にかかわる仕事である湯灌師の仕事内容や著者がこの職に就いたきっかけ、経験などせきららに綴られたもので、湯灌師という職業に関して非常にわかりやすく、またきれいごとなど書かれていなかったのでリアリティーを感じました。ご遺体をなるべく生前の姿に近付けることや、遺族の方々に対する細心の気配りを心がける気持ちなど、湯灌師とはご遺族にとっても死者の方にとっても、本当に大切で素晴らしい職業だと感じました。2013/02/01
Mik.Vicky
11
湯灌師・・・そんな職業があるなんて初めて知った。遺族にも感謝され、素晴らしい仕事だと思う。若い人ではなく、ある程度苦労を知り、死を意識するようになる年齢の人が向いていると述べているが本当にそうだと思う。自分にも出来るだろうか・・・ちょっと考えてみたけどやはり破損・腐乱した遺体を取り扱うのはできそうにない・・・2016/10/07
B.J.
9
●男は、家を失うと、「死」に追い込まれる。 ●異常死体 :病院というルートを通過しなかった遺体は、基本的には異常死体なのである。 →家庭内で起こった突然死などもこれに含まれる。 ・・・本文より 2020/02/22