内容説明
私は若いころから、なぜか旧い道をたどっていくのが好きであった。旧い道にはひっそりと道しるべの石柱が半分土に埋もれながらかしいでいたり、道祖神が道しるべになっていたりする。そんな道をうつむきがちに、自分の影法師だけを相手に歩いていくと、私は遠い昔の女たちが、この道を歩きながら、どれほどの涙をしみこませていっただろうかと、ふとため息がつきあげてきたりするのであった―紀行文学の最高傑作。
目次
初瀬詣で(初瀬詣で;飛鳥路;宇治紀行;尾道・因島文学紀行;丹波立杭)
木曾路の秋(木曾路の秋;木曾の文学寺;花と風鈴;モラエス、治郎八;捨聖;清涼寺仏名会;竜神夜話;微笑仏)
古都旅情―近江路(さざなみの志賀の都;冬の湖)
古都旅情―大和路(二月堂お水取り;炎の舞 続・二月堂お水取り;吉野山新緑;中辺路万緑)
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922年、徳島市生まれ。東京女子大学卒業。1957年、「女子大生・曲愛玲」で第3回新潮社同人雑誌賞受賞。61年、『田村俊子』(文藝春秋)で第1回田村俊子賞受賞。73年、中尊寺にて得度。師僧は今春聴(東光)。87年、岩手県浄法寺町の八葉山天台寺の第73世住職として晋山(2005年まで)。96年、現代語訳『源氏物語』(講談社、全10巻)を刊行。97年、文化功労者。2006年、文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。