平凡社ライブラリー<br> 背景の記憶

平凡社ライブラリー
背景の記憶

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  • サイズ 文庫判/ページ数 381p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784582763096
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0323

内容説明

「個」と「類」の接点を模索し続ける著者が、自らの過去をありのままに綴る。少年期を過ごした路地裏の界隈から、まだ見ぬ世界の未来像へ。思想の原型と、その軌跡を辿る自伝的エッセイ集。

目次

過去についての自註
背景の記憶
佃んべえ
佃ことばの喧嘩は職業になりうるか
別れ
小学生の看護婦さん
少年の日の界隈
月島の思い出
元祖モラトリアム人間
本を読まなかった〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

3
吉本隆明は思想家として以上に、思索し生活したただの人として、恐らく戦後類を見ない傑物でしょう。しかし、彼の思想書から、人間吉本隆明の側面を読み取るのはやや困難です。驚くほど自伝的な文章が少ないのもその一因でしょう。この本は自伝的なエッセイを集成した、生活者としての吉本隆明の背景、、原点が伺える名著。戦後最大の事件を自らの結婚ときっぱりいい、常に大衆の原像の記憶を思想と格闘させた、そんな人としての吉本さんに痺れます。どのエッセイも、他の人なら間違いなく言えない、しかし果てまで行って還ってきたような雰囲気2011/07/14

ymazda1

1
意外と、一人の人が書いたこういう思い出駄文を寄せあつめた本って見かけないのは、駄文ゆえのリアリティというか、よそ行きの文章だけじゃ、なかなかここまでの味が出なかったりするからなんかな・・・特に、佃島月島といった東京の「記憶」のところは、自分ではイメージしきれない時代だけに、読んでておもしろかった。

shito_gi

0
吉本隆明の面白いところは、想像もできないほど莫大な知識と教養を持っているのに、何かを語ろうとするうちいつでも自分を語り始めて、違うテーマを口実に結局同じ話を聞かされる点にある。しかもその語り口があまりに魅力的なのだ。本人は、自分の書いた本には世界的な思想家ものとは違い絶対に読まなければならないようなものはないと語ったが、「老いの現在進行形」「フランシス子へ」「背景の記憶」の三冊は絶対に読まなければいけない類の本だ。それは吉本隆明三大著作などとは比べようにならないほどの価値を持っている。

bittersweet symphony

0
自伝的内容にかかわる短文・エッセイを、書かれた年代ではなしに吉本さんの人生の時系列順に並べたもの(既刊本に採録されたものの再録も多数)。近代日本において東京近辺で生まれたり育ったりすることの意味合いの大きさが感じられるところですが、中身的に目新しい印象の内容は無いように思います。文芸書や週刊誌、新聞、行政の広報などいろんな媒体に初出したものが収められていますが、初出誌には「小原流挿花」「月刊看護」「ミス家庭画報」「年金と住宅」「交通界速報別冊」「DENTAL DIAMOND」などといったものがあったり。2013/04/01

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