内容説明
渓流釣りは、著者生涯にわたる趣味であるとともにフィールドワークでもあった。今西自然学の傍流に位置しながらも、終生追究し続けた“渓魚の生態”と随想。論稿「イワナとヤマメ」「イワナ族」のほか、単行本・全集未収録エッセイ三編収録。
目次
論稿
渓流・渓魚
カラコラムにて
よき時代の釣り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
70
著者は、いわゆる京都学派の巨人である。この本は前半のヤマメとイワナの種の分類についての論考である。今では分子生物学の発達によって、遺伝子レベルで分類が行うだろうが、この本の論考では解剖学的方法による分類でなく、見て解る特徴で、かつ、一般誌に掲載ししかも学会の定説になってしまうという、恐ろしい論文である。ムヅカシイ事を素人にわかるように、しかも、学術として一定の質を持った本を書くという難事に挑戦し、成功している。分類だけでなく、分布まで全国の渓流へ釣行し、細かい境界まで確定している。偉人は凄い2020/07/08
志村真幸
2
1986年に淡水魚保護協会から出た『うろくず集』の改題・文庫化。新たに4篇が加えられている。 今西錦司の論文やエッセイから、魚や釣りに関する19篇を集めたものだ。メインになっているのは、イワナとヤマメの分類学。今西学がよくわかる内容となっているが、同時にその不確定性にも気付かされる。 そのほかは軽い文章が多い。戦前の大陸での釣りのことなども書かれており、興味深い。2019/10/29
yokkoishotaro
1
いやぁ面白かった。 偉大な研究者なんだけど、根本的な熱さを感じた。好きだったり、好奇心だったり、そんなところがあふれんばかり出ていた。 サケ科魚類の話としても最高に興味深い。2020/12/19