内容説明
釣りというのは、魚を釣ることもそうだが、風景をも釣ることではないか―釣り師は、清流や渓流沿いの風景に身を濯われることが何よりもたのしいのだ。風景の釣り師が、あざやかな竿さばきで描く、川釣りの風景と人生。
目次
川釣りと川魚
ハゼ釣り
釣り二題
私の風土記―釣り
ヒガイ釣り
名人釣師の風貌
猫のいる湯宿
孕みゴイ
蛇のいる場所
大タナゴ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Michael S.
8
「ぼくは樹木や水の思想のなかに,ぼく自身を送りこめるという安心を,いつのまにか抱きはじめ,生きている時間の喪失を楽しむことを覚えた.」P.123. 著者は日中戦争に7年従軍した経験を持ち『静かなノモンハン』(未読)など戦記作家として有名だが,今回初読み.この本は著者の趣味であった魚釣り(主に淡水)がテーマのエッセイ,詩,短編小説などを集めたもの.釣りを通して自然と一体となりながら,孤独な我が身を省察する文章はなかなか良い.私も長く釣行していないのですが,無性に釣りに行きたくなりました. 2020/09/13
furutpp
0
戦前、戦後の、争いに背を向けた静かな釣り人に憧れます。2016/11/10
ウルフ
0
随筆も素晴らしいが、内省的な釣りの美学も読みごたえがあった。釣という行為には二つの選択肢があるということが書かれている。2014/11/08