内容説明
チョウは、生まれたての羽を、ゆっくり閉じたり開いたりしている。まるで、新しい世界で深呼吸しているみたい。石原さんとふたりで、しばらく見とれた。とうとう、チョウになれたね、みかん。みかん?ううん。この子は、みかんじゃないかもしれない。おばあちゃんがとってきた、別の幼虫かもしれない。でも、こんなにりっぱなチョウになった。世界にひとつしかない、たいせつな命だね。内気なゆりの友だちは、アゲハチョウの幼虫みかん。みかんを育てながら、ともに成長し、たいせつなものに気づいていく物語。小学中級から。
著者等紹介
安田夏菜[ヤスダカナ]
1961年、兵庫県西宮市に生まれる。大阪教育大学教育学部卒業。日本児童文学者協会会員。日本児童文学者協会の創作教室などで学ぶ。『ビーチウインド 潮の香り』で第49回毎日児童小説コンクール最優秀賞、『お母ちゃんの味』で第10回学研読み特賞、『みかん』で第2回長編児童文学新人賞佳作などを受賞。現在、子どもの作文指導をしながら、創作を続けている
藤本四郎[フジモトシロウ]
1942年、福岡県に生まれる。日本児童出版美術家連盟会員。アニメーションの美術・演出にたずさわった後、フリーのイラストレーターとなる。絵本画家、風景画家として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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anne@灯れ松明の火
16
『あしたも、さんかく』が良かったので、他の作品も読んでみたくて。親友が引っ越し、ひとりぼっちになったゆり。自身も転校することになり、新たな世界での再出発を期待するが、そうはうまくは行かない。アゲハチョウの幼虫だけが友達だ。新しい学校での友達、おばあちゃんとの関係など、ぶつかり合い、もがきながら、大事なものに出会い、成長してゆく。同じような悩みを持つ子たちに是非読んでみてほしい。2014/07/19
ミルクみるく
9
とっても感動して泣きそうになりました!この本は,今まで読んだ中で一番感動したかも!!!!!!!!!2009/12/22
ゆうわか
2
自分がたいせつに思うもの。それがきっとほんものなんだ。 わたしは、どんな人だろう。なにを、たいせつに守っていきたいんだろう。これから、どんなふうに生きていくのだろう。人はその答えをさがすために、毎日がんばって暮らしているのかもしれません。2018/10/27
izw
2
安田夏菜は3冊目。おばあちゃんが血のつながりがないと知ったときのショックと反発、でも育ててくれたことの大切さに気づき、納得し、安心するという気持ちは、とても良く分かります。2017/05/21
読書国の仮住まい
1
小学五年生のゆりはおばあちゃん、父との三人暮らし。 ある日お父さんの会社が倒産して引っ越すことに。 転校初日、隣の席になったのはヘソだしにショートパンツ姿の女の子。 その石原さんは委員長に立候補、当選した。 クラスでは便利屋みたいになったゆりは、大家さんの庭で毛虫を見つける。 ミカンの葉にいたからみかんと名付ける。 野々宮さんという子に声をかけられるが、それは先生に頼まれたからと知る。 さらにおばあちゃんと血がつながらないことを聞かされ、みかんは部屋から逃げてしまう。 この蝶は本物でも偽物でも大切な命だ。2022/07/07
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- 和書
- 女の生、男の法 〈下〉