内容説明
「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。
著者等紹介
本多孝好[ホンダタカヨシ]
1971年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。1994年「眠りの海」で第16回小説推理新人賞受賞。受賞作を含むデビュー作『MISSING』が「このミステリーがすごい!2000年版」で第10位にランクイン。真摯な眼差しと透明感溢れる文体で、今もっとも注目される俊英である
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感想・レビュー
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りゅう☆
95
医大を辞め学院の講師をする柳瀬は教授からある娘を守ってほしいと頼まれる。母を殺された娘の家庭事情、息子がナイフで人を傷つけてると疑う母の不安、真面目に生きてきた父の初めての挫折で感じた空虚、学院長が学院を始めた真意。彼らの波長とシンクロし、隠された本心を曝け出すことでもたらした結果が呪いなのか?柳瀬の愛を感じない恋人は浮気を試みる。母は父に殺され、その直前に父が語ったこととは?柳瀬に対し無機質さを感じるも、相手とシンクロした時の切迫感に畏怖の念を抱く。でも最後まで柳瀬という人物に感情移入できなかったなぁ。2018/11/16
Harωna
88
絡まった思考を丁寧に解きほぐすような文章は読んでいて爽快になります(*^ω^)不思議な能力があってもなくても愛は生まれ育っていくものだなと思いました(*´∀`*)決して綺麗ごとだけではない登場人物の台詞とストーリー展開が気に入りました( ´∀`)2016/03/27
hit4papa
82
他者の精神に共鳴する能力を持つ私塾講師。父から受け継いだこの能力は、”呪い”と称するだけに、対象者の本音をあからさまに引き出し、望ましくな結末に導いてしまいます。父が母を殺害し、そして父が自殺しまった過去。その事に対する主人公の謎めいた呪縛が、物語をひっぱっていきます。悩める他者の本音を吐露させていくシーンはクールで緊迫感があります。しかしながら、主人公の恋愛事情を含めて、もやもやが終始つきまとってしまいました。ラストも、著者の他の分かりやすい作品に比べてもやもやです。タイトルの意味はわかるんですけどね。2018/09/08
ユザキ部長
79
他者の波長を感じて自分の波長とシンクロすると心読める呪いを持つ主人公。いかんせん言葉のいいまわしが回りくどい。21歳じゃないだろ?この子は。読みきれなかったし良くわからなかった。2016/11/20
射手座の天使あきちゃん
78
本多さん独特 妙に老成し、ちょっと斜に構え、それでいて透明感のある主人公 他人の心とシンクロする特殊能力に苦悶しながらも生きて行きます。元気バリバリって感じじゃないけど、嫌いじゃないです。 v(^_^) ミカちゃんオマセ!!(笑)2010/05/22