内容説明
死への道は、誰もが一人でいくものだ。それにもう十分なほど、多くの友が向こうで待っている―江戸から京、箱根、横浜、そして箱館と、時代の流れに抗いつつも、闘い続けた男、伊庭八郎。現代の日本人が忘れてしまった魂がここにある。
著者等紹介
秋山香乃[アキヤマカノ]
1968年、福岡県北九州市門司区生まれ。活水女子短期大学卒業。2000年9月に別筆名で『samurai 裏切者』(後の『新選組 藤堂平助』文春文庫)を出版。その後、2002年3月に『歳三往きてまた』(文春文庫)を文芸社から秋山香乃筆名で初著作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
29
時代を駆け抜けて行った快男児の話です。遊撃隊の面々や土方との関係も良かったです。また手術の場面は印象に残りました。2023/10/03
なつきネコ@吠えてます
26
なにをやっているんだろうか、会津人と違い、戦わなければ新時代を生きる事ができたのに。片腕を失っても戦うのは、幕臣の意地なんだろうか。八郎の戊辰戦争は不運だ。あそこまで死にに向かっても、華々しい死ができなかった。戊辰がはじまる前の半生はあれほど恵まれていたのに、そのギャップが悲しい。けれど、友人は消えない。鎌吉や小太郎などの友人が最後までそばにいて、死ぬために小稲は50両を渡す。本当に八郎は人間味あふれた人間なんだな。歳三の明日は共に戦おうのセリフは泣かされた。最後を求めた者どうしだから伝わるんだろうか。2015/09/26
あお
21
イバハチ、かっこいいなあ。その先には死しかないとわかってただろうに、最後まで自分の義を貫く姿が好きだ。根っから幕臣の彼には他の選択肢はなかったんだろう。箱館には死に場所を求めて向かったんだろうけど、悲壮感はまるでない。なんとかして薩長に一矢報いてやろう、死ぬなら戦場で、そんな彼の覚悟と心意気にちょっと泣いた。彼を慕う人達が皆いい人で、それは八郎自身が魅力的な人だからなんだろうな。篠三郎が笑って殿を引き受けたシーン、本当に胸が熱くなった。八郎の最期の地、見てみたい。箱館行きたい欲がますます高まった本でした。2015/08/23
カナリア
20
徳川家降伏後、多くの武士が最後まで幕臣として生きたいと望み、奔走していたのだと分かりました。船が座礁したり、手配書が出回ったり、動きづらくなる中で、使える物すべてを使って戦おうとする伊庭八郎の姿に心が打たれました。2014/11/10
よっしー
17
秋山さんの本は新撰組で読んでました。そして、新撰組の本を読んでいると、箱館戦争の時に出てくる「伊庭八郎」、名前や土方さんの旧友というのは知っていたのですが、どんな人物だったのか知らなかったので手に取りました。幕臣だったが故に、新政府軍にも恭順できず、死に場所を求めて戦った。戦の中で死ねずとも、降伏する前にこの世を去る。自分の信念を最期まで貫く、そんな男達が沢山いた時代が幕末なのでしょうね。2018/04/11




