内容説明
瀬戸内に残る鳥坏島の秘儀、断崖絶壁の拝殿で行われる鳥人の儀。その儀式のさなかに巫女が消え失せてしまう。「大鳥様の奇跡」が、刀城言耶を震撼させる。書き下ろしシリーズ短篇「天魔の如き跳ぶもの」を特別収録。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
2001年に『ホラー作家の棲む家』でデビュー(文庫化の際に『忌館ホラー作家の棲む家』と改題)。ホラーでありながらもミステリ的な仕掛けにもこだわりを見せた独特のストーリーテリングで注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
67
何がそうさせるのか。考えてもみなかった、禍々しい怪異事件の全貌は衝撃と後味の悪さを残して終焉となる。正体を見破って事件を解決しながらも、真相以外の大切なものを置いて、去っていかなければならなかった刀城言耶はその島を振り返り何を思ったか…。必死にしがみついていないと迷子になってしまうほど、入り組んだ怪異ミステリが魅力の刀城言耶シリーズ第2弾。信仰と怪異が今回もまた重厚感を生んで、忌むべきものは人かそれ以外か、を考えさせられる一冊だった。恐怖より憎悪、これ間違いなし。書き下ろし「天魔の如き跳ぶもの」も収録!2022/09/19
たか
20
今回の話はもうひとつやったかな。作中の雰囲気とかは好きなんやけどすっきりとした結末じゃなかった。それでも楽しめたけど。2019/04/21
幸猪
19
鵺敷神社の特異な存在を基に、巫女に受け継がれる自己犠牲の精神と狂乱性で「鳥人の儀」を執り行う。まだまだ地方には因習が残っているとはいえ、今の日本でチベット密教も影響している様な儀が行われるとは・・・。影禿鷲の登場や村上水軍の歴史を持つ人々の土地鑑でストーリーが一気に民族ホラーへ。現実的・論理的に通用しない儀礼中に起こった奇っ怪な事件は一端、刀城の推理で片付けられたが、最後の一幕で怪異現象のシーンが突如表現されたのは、やはり民間伝承そのものを壊したくないという著者の思いが込められたのではないかと解釈できる。2023/10/04
MK2
16
なるほど…知っていないとわからない結末。知識としてはわかっていたものの全く気がつかなかった…そこそこ長くて飽き気味のところに謎解きだったので効果は抜群だった…。2018/08/20
あおさわ
15
途中経過がしんどくてだいぶ時間をかけてしまいましたが、終盤は早かった。意外性のある不思議な儀式の真相と、ぞくりとする余韻が三津田先生らしいですね。短編「天魔…」も面白かったです。ただの頑固爺さんと思ってたらあくどい。2011/10/24