地図で読む戦争の時代―描かれた日本、描かれなかった日本

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地図で読む戦争の時代―描かれた日本、描かれなかった日本

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  • サイズ B6判/ページ数 263p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784560081181
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0025

出版社内容情報

蛇行を繰り返す線路、忽然と現われる円形の区画、広大な空き地。地図に描かれた戦争の痕跡を古今内外の地図をもとにさぐっていく本書は、植民地や領土問題を考える上でも示唆に富む。

内容説明

蛇行を繰り返す線路、忽然と現われる円形の区画、広大な空き地。戦時下日本を中心に、地図に描かれた戦争の痕跡をさぐっていく。

目次

地図に表わされた戦争の傷痕(地形図に描かれた空襲―名古屋;市街地に残る幅広い傷跡 建物疎開―蒲田、名古屋、京都 ほか)
植民地と領土を地図に見る(朝鮮の干拓地に記された日本の県名;台湾の農村を縦横に走る稠密な線路網 ほか)
地図が隠したもの―秘匿される地図(描かれなかった等高線―横須賀;毒ガスは地形図の空白で作られた―広島 ほか)
軍事施設はその後どうなったか(軍用地はその後どうなったのか―東京砲兵工廠(後楽園)、成増飛行場
軍用鉄道の生まれ変わり―新京成電鉄、東急こどもの国線、西武拝島線 ほか)

著者等紹介

今尾恵介[イマオケイスケ]
1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・地名・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。現在、(財)日本地図センター客員研究員(財)地図情報センター評議員、日本国際地図学会評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

99
終戦時に軍部は戦争に関する大量の機密資料を焼却したが、地図に残した生々しい傷跡は消し去れなかった。基地や工廠など軍関連施設は抹消され、地名や駅名を改称させられたりと地図に振るわれた暴力の数々から戦争の次代を描く。あったものがなかったことにされ、偽りのものがあることにされるなど敵の目を欺くとの名目で行われた数々の愚行は呆れるしかない。戦争をしたがる軍部や一部政治家の狂気に、国民が唯々諾々と従う有様が目に浮かぶ。そうした「戦時改描」を強いられた地図作成者らが、故意に稚拙な修正を施していたのはプロの抵抗なのか。2021/12/05

小鈴

24
「地図に表された戦争の傷痕」では昭和7年にはあった名古屋城が22年版では何もなくなり、広島は真っ白に。地図をたどることで失われたものを知る。「地図が隠したもの」では昭和12年の軍旗保護法によりダムや油田、火薬庫や操車場が無くなる。そして、そもそも軍事拠点は描かれない。戦前の地図を何千枚も持つ著者であっても横須賀の描かれた本物の地形図を1枚ももっていない。等高線の描かれない概略図のみ。地図とは国の宝であり、国土地理院の前身は陸軍管理下の陸地測量部なのだ。図書館本館の戦争企画コーナーでの一冊。良本。2018/08/25

アメヲトコ

12
地図に現れる戦争の痕跡、植民地の地図、戦時改描、軍事施設の跡地など、戦争と地図の関係について語った一冊。ネタ紹介的であまり体系的な内容ではないですが、知らなかったこともいくつかあり勉強になりました。戦時改描についてはバレバレ過ぎると私も思っていたのですが、上層部からの圧力に対する地図技術者たちのせめてもの抵抗だったのではとの推測、案外そういうこともあったのかもしれません。2019/11/13

Mizhology

9
建物疎開という言葉を初めて知りました。あとがきに、じーんとしました。地図はやっぱり良い!そして地図を誤魔化さなくて良い世の中。かなり地図好きな私でも、地図と鉄道と地名に一瞬解らない部分があり、マニア向けなのかと思いましたが、結構売れてるらしいと聞き嬉しくなりました。2012/07/28

midnightbluesky

8
あとがきに“ある日を境に消えた家族”について書いてあるが改ざんされた地図を読み解くというのはつまるところそういう人達への思いに通ずる。それは原発事故による立ち入り禁止区域の地図にもいずれ表れるのかと思うとやはりやりきれない。2012/02/11

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