出版社内容情報
自らの性向に忠実に生きるため、妻に宛てて別れる理由を書き送る書簡体の処女作『アレクシス』をはじめ、他に『とどめの一撃』『夢の貨幣』を収める。戦前に発表された初期の三作品。
内容説明
静謐な思索の流れのあいだに激情を透かし見せる一人称の物語。初期の傑作中篇三作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OHNO Hiroshi
5
難解というよりも、何書いてあるのかわかりましぇん、という感じ。どうやら、読者の読解力の問題ではない。作者のハードルの高さなのか、で、読む必要があるのか、うー。よくわからない。2016/02/24
よっし~
1
第1次世界大戦とロシア革命の時代に、三人の男女の人間関係が描かれる。それぞれの野心や、愛慕や、自尊心が複雑に、精緻に、そして烈しく交錯する。実際の時代や人物を財に取りながら、玲瓏な文体でこの世ならぬ人造世界を作り上げているところが著者の面目躍如といえる一冊。
nowonme
0
読もうと思って図書館から借りて前半部分がなかなかとっつきにくく1ヶ月放置し図書館から延滞催促でしかられたので『アレクシス』だけ読む。素晴らしい文章。前半はそれこそ物語の全容がつかめず、一人称主人公の述懐と悔恨が真理を大いに孕みながら進むその圧力に頭が耐えきれず目が滑った。後半、二人の結婚生活がはじまるところでようやく物語の輪郭がつかめ、子の誕生ののち主人公がピアノを弾きながら自身の肉体と魂を諦念的に受容する場面の美しさに感じ入った。2021/09/25