供述によるとペレイラは…

供述によるとペレイラは…

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  • サイズ B6判/ページ数 193p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560046159
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

出版社内容情報

 ポルトガル、リスボンの暑い夏。スペインで市民戦争が激しさを加えている頃、この小さな隣国にもファシズムの影が忍びよっていた。小さな新聞社の文芸欄主任ペレイラは、そんな状況に胸を痛めながらリベラルな記事を掲載していたが、一人の無垢な青年との出会いが彼の運命を大きく変えてゆく。

内容説明

1938年夏、リスボン。ファシスト政権下、ひとりの新聞記者が、ある決意をかためた。鬼才タブッキが、困難な状況下において人間の生きる意味を根底から問いかけた完璧な小説。イタリア最高の文学賞ヴィアレッジョ賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

41
舞台は、ポルトガルのリスボン。新聞記者のペレイラが、原稿書きに雇った青年との出会いを境に、政治運動へと飲み込まれてゆくお話。後半の急展開で一気にひきずりこまれ、ラストの記事執筆場面からの結末は鳥肌ものでした。この時代の社会情勢について、もうすこし知識があればよかったかな。須賀さんの訳は素晴らしく、平易なのに味わい深いです。2015/09/30

rinakko

21
再読。素晴らしい。妻を喪い、自身の死をも近く意識するペレイラは、いつも死やたましいについて考えるようになる。ある若者と知り合い、悔恨についての短篇を訳し始める。そして‥‥。真摯な思惟は静かに続けられつつも、信条を頑なに守るモンテイロ・ロッシとの関わりによって少しずつ変化していく。不意の勇気も、その先の尊い決断も、それまでの繋がりに背を押され導かれていったのだ。(即オムレツを思い出す作品なのじゃが、殊に美味しそうに描かれているわけでないのね‥‥と再確認。ただ、“香草入りのオムレツ”は語感だけで充分に美味)2016/08/15

ともっこ

20
最後までハラハラ楽しませてもらった。 供述調書を読みながら進めていく物語で、ある意味結末が見えているわけだが、冴えないが魅力的な主人公・ペレイラの行末が気になり止まらなくなる。 なんといっても須賀敦子さんの翻訳が秀逸。タブッキから直接この本を送られ翻訳されたらしい。 文体と構成も魅力のひとつ。 文句なしに面白い。お気に入りの本となった。2022/04/24

19
舞台は1938年、ポルトガル独裁政権下の時代。ぱっとしない日刊紙『リシュボア』の記者ペレイラが、一人の青年に出会ったことで、あれよあれよという間に政治運動に巻き込まれてゆく。その様子がペレイラの「供述」によって、最後まで語られていくのだ。本作は1994年秋に、イタリアでヴィアレッジョ賞を受賞している。これまでとは違った作風で、生きるとはなにか、そして死とはなにかという重い問題を提起したこの作品は、今でも評価の対象になるだろう。何気ない日常を生きているようで、その陰には政治があるという描写が秀逸だった。2023/03/08

風に吹かれて

17
1993年著。「供述:[法]被疑者・被告人・証人などが自ら知覚・記憶した事実を事実として述べること。」(広辞苑第五版)ということから、供述の先には何が待ち構えているのか、読み手としても緊張感のある読書だった。ときは1938年、ところはポルトガル。ドイツやイタリアの軍靴がいたるところに圧力をかけている時代。30年の政治記者を経て某夕刊紙の文芸欄を担当しているペレイラ、砂糖をたっぷりと入れたレモネードと亡き妻の写真に語りかけることを愛する肥った男。➡2019/11/14

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