氷上旅日記―ミュンヘン‐パリを歩いて

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氷上旅日記―ミュンヘン‐パリを歩いて

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  • サイズ B6判/ページ数 154p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784560042960
  • NDC分類 946
  • Cコード C0098

出版社内容情報

 「あのひとを死なせるわけにはいかない。ぼくが自分の足で歩いていけば助かるんだ」――重病の親友の快復を願かけて、ミュンヘンからパリへ向かい、雪と氷のなかを彷徨し、魂に呼応するような風景と忘れられたような人びとに出会う……。ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才が綴る孤高の幻視行。

内容説明

重症の親友の快復を願かけて、氷と雪に閉ざされたミュンヘン‐パリ間を彷徨する〈魂〉の軌跡。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

garth

3
「ハイレ・セラシエが処刑された。遺体は、殺されたグレイハウンド犬、殺された豚、殺された鶏といっしょに焼かれた。混ぜ合わされた灰は、あるイギリスの伯爵領の畑に撒かれた。何と心を落ち着かせる話だろう」2012/03/25

misui

3
友人重病の報を受け、ヘルツォークはミュンヘン-パリ間を徒歩で移動する。「もしこれが本当に無意味なことなら、むしろ最後までその無意味さを味わいたい」との言葉通り、友人のためというのは建前でしかない。風雨と雪の中をひたすらに歩き通して動物的ともいえるある状態に達すること。巡礼とはこのような行為を指すのだろう。道中の思考をそのまま書き留めた文章に朦朧とする。2010/12/05

あれ

1
「ガソリンスタンドの男が、あまりにも不思議そうな目でこっちを見たので、自分がまだ人間の姿をしていることを確かめたくて、大急ぎでトイレにかけ込んだ。だが、どうだってかまうもんか。この強い風に吹かれるまま、翼が生えてくるまで、このガソリンスタンドのまわりを飛び回ってやろう。夜になったら、こじ開けた家の王様だ、そこがぼくの城になるんだ。」 肉体を酷使することで少しずつ消滅していく身体。ヘルツォークの精神が景色に溶け込み、主観と客観の境界線がなくなった時、世界は詩という形で原初の姿を現す。2012/12/19

szur

1
自分の足で歩かなければ見えないものがあると、よく分かってる人なのだろうな。思えばいつでもつじつまの合わない自己認識をひっさげて、自分の足で歩き自分の目で見ることを大切にする人だ。陰鬱な風景、ドイツ語からフランス語へと変化していく通り過ぎる町の名前。逆に自分が死の床に就いていて、こんな阿呆がたずねてきたら、きっと彼女と同じように微笑まざるをえない。2012/03/22

Akko

1
ヘルツウォーク監督の創作の源になるのは「音楽を聴くこと」「歩くこと」「詩を書くこと」だと言う。この旅日記は後者2つを合わせた様な雰囲気。旅が過酷なものになるにつれ彼の魂が一層研ぎ澄まされていく。それは瞑想に近い状態なのかもしれない。読んでいる者も彼の幻視的な視点に吸い込まれていく。現れるたくさんの風景や気候や人々や動物達の描写が残酷だがひたすら詩的で美しい。旅を終えた瞬間のラストの数行の彼のセリフには清々しい涙が出た。2011/11/12

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