出版社内容情報
原発災害後も自らを鼓舞し、日本一の山菜栽培をめざし、仮設から畑に通い続ける家族の姿を活写、土と生きる人間の美しさを描く。
内容説明
きのうまで、家族いっしょに暮らし、あそび、学び、働いていた「ふるさと」を、突然、放射能によって追われたら。生まれ故郷の山や川や田畑が、家や村や町が、そこにあるのに、二度と帰れないとしたら。家族の思い出の場までも、奪われたとしたら。そして、それが、わたしたちの暮らしと深くかかわる原発がもたらしたものだったら。わたしたちは、何を思うでしょう。放射能が消えるまでの100年も、200年も待つのでしょうか。「までい」な村「飯舘」に密着した、7年にわたる家族や村の物語は、わたしたちと深くつながっています。
著者等紹介
豊田直巳[トヨダナオミ]
フォトジャーナリスト。1956年、静岡県に生まれる。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
54
種まきから収穫まで7年もかかる行者ニンニク栽培。その7年目の春、飯舘村に放射性物質が降り、待ちわびた収穫・出荷はできず、一家は村から福島市に避難。仮設住宅で何もしない日々から一転、畑を借りて行者ニンニク栽培を再開した菅野さん夫妻の「負けてられねぇ」に、改めて原発の被害の理不尽さを痛感した。表紙の写真にたどり着くまでの苦労や辛酸を思う。そして被災地の人々の生活や心情に寄り添って報道し続ける豊田直巳さんに感謝。2021/04/14
たまきら
37
表紙に一目ぼれして借りてきました。ミレーの晩鐘みたい。どんなに大変な人災が、天災がふりかかろうと土と向き合う営みを続けている人がいる。農家の人たちの苦労を思うと、さらっと流れていく再稼働や汚染処理水の海洋放出のニュースが重みを増す。人の悲しみの上に成り立つ暮らしは、嫌だ。2021/04/14
ヒラP@ehon.gohon
28
放射能を浴びた畑は、農家である菅野さんの生活をすっかり変えてしまいました。 しかも自ら放射能を浴びながら避難できたのは、原発事故の3か月後とか。 出荷まで7年かかるという行者にんにくが、7年目にして放射能に汚染されてしまって、絶望感に包まれた生活を強いられます。 そんな菅野さんの、再起までのドキュメンタリー絵本です。 東日本大震災の爪痕と、人の強さを感じる写真絵本です。2021/04/07
けんとまん1007
25
人は土とともにあると思っている。大地の恵みは、命そのものに関わる。それを、根こそぎ奪われてしまった。それでも、明日に向って行かないと。そんな思いが、痛いくらいに伝わってくる。2018/12/16
みつばちい
18
飯館村で収穫までに7年かかる行者ニンニクを作っていたご夫妻。ちょうど7年めの収穫の年に震災が起き、原発事故の影響で全廃棄することに、、避難生活から時を経て、別の場所で栽培を始める。簡単には心の傷は癒されない、でも負けないと立ち上がる人々の気持ちが写真とともに伝わる。ほかのシリーズも読みたい。2019/03/17