感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とんこつ
3
中国は近代をどのように受容したのか、西洋中心主義の抱えるパラドクス(普遍性を志向するが故に生じる分断)を中華思想は乗り越えることができるのか、政治と文学についてなど、様々な論考が収録されている。魯迅が自国の現状を強烈に批判しながらもその救済の在り処を自国の文化のなかに求めたという指摘は興味深かった。魯迅が伝統的「文」に見た普遍性は断絶を志向するそれではなく、分かり合えないものたちを、周縁に置かれたものたちを結びつけるための装置であった。種々見られる逆説的な思考法は道教からの深い影響を感じさせる。2016/10/01