出版社内容情報
酉乃と心が通じ合ったはずのクリスマスのあの日、しかし彼女の連絡先を聞き忘れたまま冬休みに突入してしまった。あの出来事は夢だったのではないかと、悶々と過ごす僕に、織田さんからカラオケの誘いが。カラオケの後の食事の際に、急に泣きながら飛び出していってしまった織田さんにいったい何が? 僕は酉乃に力を借りるべく『サンドリヨン』へと向かう……。バレンタインでの事件をはじめ、学園内外で巻き起こる謎をたおやかに解く、マジシャン・酉乃初の事件簿。
内容説明
やっと酉乃の本心を受け止める事ができたと思ったクリスマスのあの日。勢いと雰囲気の力を借りて告白した僕は、なんと彼女の返事はおろか、連絡先さえ聞き忘れたまま冬休みに突入してしまった。もしかして迷惑だった?悶々と過ごす僕に、新年早々織田さんたちからのカラオケの誘いがかかる。そこで起こったちょっとした事件の謎を解くべく、僕は『サンドリヨン』へと向かうが…。バレンタインチョコをめぐる事件をはじめ、学園内外で巻き起こる謎をセンシティブに描く、マジシャン・酉乃初の事件簿、第二幕。
著者等紹介
相沢沙呼[アイザワサコ]
1983年埼玉県生まれ。2009年、『午前零時のサンドリヨン』で第十九回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。マジックをこよなく愛する、いま注目のミステリ作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
148
続編なので、すらすら読めるなぁ、と油断したのが敗因。読了後、検証のため即再読。特にプロローグの「井上さん、どうしたの?」確かにそう読み取るのが正解だけれど、素直に読んだら・・ううむ悔しい。作品中では「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」が好み。八反丸芹華、なんて恐ろしい子。あれにチョコレートをコーティングされたら確実に騙されそう。まして「間違えた。須川くんのには、きちんとジョロキアを丸ごと入れて作ったのに」(笑)ジョロキアって世界一辛い唐辛子ですよね。おニューを挟んでポチと魔性女優の争い。→続く2012/07/26
へくとぱすかる
136
6年ぶりで2冊目を読む。記憶がほぼ消えていて、作品世界を思い出せなかった。高校生の「日常」とはいえ、ちょっとした人間関係のずれが大きな溝になる。文芸部だからって、そこまで揶揄されるのもおかしい。クラスの中で発言力がある人間の趣味で空気が左右される怖さ。同調する者、見て見ぬふりをする者がいると、ますますおかしくなる。さて真相を見抜くのは酉乃初(この名前も忘れていた)。マジックと青春ドラマの取り合わせがよかったが、続きはまだない。須川くんはどうなるのかな?2020/04/28
エンブレムT
121
未読状態の漫画のノベライズ版を読んだ時のような、なんだか微妙な読後感。・・・「赤ずきんは狼に食べられた」黒板にそう書き殴り、姿を見せなくなった一人の女生徒をめぐる連作ミステリー。バレンタインチョコ事件をはじめ、学校内外で起きた小さな謎を追ううちに浮かび上がってくるのは、行き場のないやり切れなさ。制服を着ている限り逃れられない呪縛。正しいと思って進んできた道を簡単に覆してしまう大きなチカラ。そのあたりの描写に説得力があるからこそ、ラストが非常に物足りない。語りのポチ君に、全く興味が持てないからだろうか(笑)2012/02/02
七色一味
119
読破。楽しみにしていた本の内の一冊。「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」は先週借りていたアンソロジー『放課後探偵団』で既読ですが、この本をトータルしての大きなテーマ──というか問題(ミステリ)と言うか──があって、それぞれの中編は全体像を組み立てるためのパーツになっています。 ま、そんなことはどうでもよくて(いいのか?)。読む度にますます相沢沙呼さんの世界に魅了されてしまうと言うか…。なんとなく前作よりも酉乃初を取り囲んでいる「壁」が薄くなってきていて、イイカンジです。2011/12/23
くろり - しろくろりちよ
116
ロートケプシェン。耳慣れない単語だれど、サンドリヨンに続いてと考えると「ロート赤い、ケプ頭巾、シェンちゃん」と雰囲気があって素敵なタイトル。今回も登場人物たくさんで把握するのがやや億劫でしたが、やっぱり可愛らしい謎がたくさん。バレンタインチョコレート事件なんかは本当にキュート。いじめの話は悪意が薄い分本当に取り返しが付くのか疑問だけれど。一冊目の方が好きだけれど、これもこれで楽しめました。2012/06/12