内容説明
山折哲雄(宗教学者)と赤坂憲雄(東北学/東日本大震災復興構想会議委員)が、地震と津波、そして原発を語る。来たるべき時代を見据える対話の書。
目次
第1部 反欲望の時代へ(山折哲雄;赤坂憲雄)(被災地とメディアと東京;震災の名称を変えた愚かさ;震災をめぐる日本の「知」;学ぶべきもの、進むべき道;揺れる日本人のメンタリティ ほか)
第2部 過去からの伝言―東日本大震災を考えるために(津浪と人間(寺田寅彦)
天災と国防(寺田寅彦)
日本人の自然観(寺田寅彦)
ちゅらかさの伝統(岡本太郎)
『対話 人間の建設』より(岡潔) ほか)
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年、サンフランシスコ生まれ。宗教学者。国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長などを歴任。和辻哲郎文化賞を受賞した『愛欲の精神史』(角川ソフィア文庫)をはじめ、著書多数
赤坂憲雄[アカサカノリオ]
1953年、東京都生まれ。福島県立博物館館長、遠野文化研究センター所長、学習院大学教授。民俗学をベースに東北の文化や歴史を掘り起こす「東北学」を提唱。2007年、『岡本太郎の見た日本』(岩波書店)によりドゥマゴ文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとむ
4
第一部の山折・赤坂対談にはがっかり。欲望についての議論が浅すぎる。「あとがき」にある「いたずらに抑圧するのではない」、「欲望の贈与」や「欲望の譲渡」についてもっと語ればよかったのに。一方で、第二部の寺田寅彦『津浪と人間』には驚くばかり。東北における大地震と津波は過去何遍も発生し、さまざまな警告が残されているにもかかわらず、あっさり無視されたり、忘れさられてきたことが書いてある。80年前に書かれた人間の本質。震災後、さかんに引用されたのはこれだったのか…。あと、岡本太郎の『ちゅらかさの伝統』も秀逸だった。2013/12/09
Riopapa
2
震災,原発事故の中で,文系の人間に何ができるのかということを考えていたが,その方向性を示してくれる本だと思う。科学技術の問題だけでなく,人間の欲望という観点を入れることで,何か新しい視点が見えてくるのかも知れない。2012/09/15
かのくつ
2
中々面白い内容。前半は対談、後半は対談に出た様々な文章が掲載されている。岡本太郎や宮沢賢治、寺田寅彦など、そこだけでも読む価値がある。しかしこれほど考えられているとしても、それが現在において論者たちが述べたような未来に向かっているかは、何とも言い難いのが寂しいものでもある。聖書の一節まで掲載されてる辺りが変わり種。寺田寅彦の文章は今、ついこの間書かれたかのように新しいし、宮沢賢治の文章は何度でも再発見がある。他の掲載文書も同様に、興味深いものだった。方丈記をきちんと読んだのは初めてだったよ。2012/06/18
林克也
0
山折さん、赤坂さん二人の言うことはよくわかるし、賛同します。しかし、結局2人のマスターベーションではないのか。本でいくら書いても、なにも変わらない、原発も止められない、政権というか国の指導者の思考、そして暴走もとめれれない。どうするんだ。これだけの知識人、ある一部の人たちにとってのカリスマ的な2人が、いくら発言しても何も変えられないというこの国は、滅亡に向かって突き進んでいる。決してこの2人に責任があるわけではないが、この国の国民に対する絶望感。2012/04/12