優しい去勢のために

優しい去勢のために

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480813480
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

目次

1 時代(アフリカ救援活動について感じた二、三の事柄;あなたは女子プロレスを観たか ほか)
2 印象(反逆児たちの和解;男が女に変わる時 ほか)
3 文学(「沈黙」に至る旅―『暗い旅』;口承文学としての『紫のふるえ』―『紫のふるえ』 ほか)
4 優しい去勢のために(去勢への旅立ち、新たなるタイム・トリップ;欲望の処方箋 ほか)
5 性愛(性と生の彼方―両性具有とプラトニック・ラヴ;マゾヒストの悪意 ほか)

著者等紹介

松浦理英子[マツウラリエコ]
1958年、愛媛県松山市生まれ。青山学院大学文学部仏文科卒業。在学中に「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

26
美しい題名の本である。同じタイトルの、まるで散文詩のようなエッセイだけがちがう色の紙の印刷されていて、著者の思い入れがうかがわれる。否定されているのは生殖だの快楽だのといった目的をもつ性愛である。裸で抱き合ってもなお満たされないのならばまだ脱ぎ足りないのだ、脱ぎ捨てよ、性器さえも、と著者はいう。去勢が意味するのはそういうことだ。何も象徴せず表現しないただの<もの>として性器を愛でること、たくらみも期待もなく、偶然に、自然に、ただ体と体を結び合わせること。2021/01/09

あ げ こ

13
大変に癒される。松浦理英子の姿勢、言葉、その生真面目さ、真摯さ、松浦理英子の求むるもの、目指す所、領域、その達し方、方法、すべてに癒される。性器結合的性愛観及び男根中心主義的なものではない、物の見方、見え方、感じ方。大変心地よい。松浦理英子の鋭さ、鋭敏さ、敏感さによって、自分は落ち着きを取り戻す事が出来る。松浦理英子が見せてくれる愉悦の、その自在さによって、自分は救われる。性器結合中心的性愛観を突き崩そうとするその情熱の好ましさよ。松浦理英子が求むるものの、目指す先のその、豊かである事。好ましさしかない。2019/07/10

あ げ こ

12
本人が言う所の〈性器結合中心的性愛観を突き崩そうという情熱〉がやはり何よりの魅力。それは官能、快楽と言った方面への鋭敏さや貪欲さより生まれたものであるように思う。官能に対し、快楽に対し、鋭敏であり、貪欲であるが故に、松浦理英子は超えて行く。性器結合と言う性愛の形を。より強く、より深遠な快楽の在り処を求め。性器結合では辿り着けぬ領域を目指し、松浦理英子は超えて行く。官能に対し、快楽に対し、探求者の如く真摯であるが故に。逃げる事なく、避ける事なく、模索し続ける。時に冷や冷やしてしまう程、どこまでも生真面目に。2017/04/30

5
再読。著者最新作「最愛の子ども」の空穂は、〈存在論的官能性〉を持ち、性器によって決められる性別とは全く無縁に人を魅了する「セックス・ギャング・チャイルド」なのだと思いました。2017/02/02

Akiro OUED

2
SMプレイの最中、MはSに対して優越感を抱いている。その逆、SはMに劣等感を持つ、もあるのかな。だとすれば、日韓関係もSMの一種かもね。日本に対していきり立つほどに、哀れさも際立つ。性的な自由奔放が、不自由に快楽を見出すのがプラトニック・ラヴの真価だという論考が面白い。好著。2023/02/10

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