内容説明
近世近代の典籍に深くひろく通じ、秀れた史伝、人物論、随筆を残した独行の博学者が、自らの楽しみとして書きためていた、とっておきの小品集。高雅にして洒脱な文章で綴られた、日本と中国の怪談、奇談、笑話など心に残る45篇。
目次
猫が物いふ話
猫の踊
提燈小僧
妖怪断章
渡辺綱右衛門
夢
都へ上った青年
その人
失つた金包
鈴〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
28
☆☆☆★ 飄々とした怪異譚。遠野物語や中島敦の短編に雰囲気が似ている。博学の作者森銑三は小泉八雲を敬愛していたようだ。生霊の妻が主人の帰りを予測する「物見」と、本因坊も登場する「碁盤」が印象深かった。2016/03/08
すがし
3
珠玉の掌編集。怪談でも大げさな怨恨や舞台装置はなく、坦々と語られる。それでいてじんわりと良い。これを読むと、現代の文芸がいかに修飾過剰か身につまされる。2010/06/08
慶多楼
0
噂に違わぬ名著であった。新編の文庫版も欲しいが古書でも結構お高いのと、旧仮名遣いでないので足踏みしてる。2018/09/04