出版社内容情報
出現の不思議さや美しい姿から、古代より思想・科学・芸術・文学のテーマとなってきた虹。西洋美術でその虹がどのように捉えられ描かれてきたのかを読み解く。
内容説明
夢の架け橋?希望の予兆?それとも、はかなさや空しさの象徴か。人は虹を見て、何を考え、想像したか。絵に描かれた数々の虹の意味を読み解く、西洋美術史の入門書。
目次
天の贈り物―ノアの虹
虹の女神―イリス
神の玉座―黙示録の虹
女王の虹―権力の象徴
色の饗宴―ルーベンスの虹
ニュートン礼讃
シャボン玉のなかの虹
反ニュートン
崇高なる虹
滝にかかる虹
虹の詩学―ターナー
科学と芸術の間で―コンスタブル
内なる光を求めて―ラファエル前派
虹のパレット
虹の音色
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954年広島県生まれ。1978年京都大学文学部卒業、1985年同大学大学院博士課程修了。岡山大学助教授を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史専攻。『モランディとその時代』で吉田秀和賞、『フロイトのイタリア』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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calaf
10
奇跡、権力、儚さ、崇高さ、音感等々、いろいろな感覚を想起させる虹。ユダヤ教ではノアの方舟で虹が出現するし、ギリシャ神話ではイリスが虹の女神。その後も現在の抽象絵画に至るまでいろいろ描かれ、こだわった人も多い・・・なるほど、虹というのは面白い着目点かも。こういう解説を読むと、日本を含む東洋の絵画はどうなのだろうという気が...どうなんだろう...2013/01/07
碧月
8
この間読んだ恩田陸さんの『ライオンハート』のなかに、ミレーの虹の美しい絵が出てきたので、この本を手に取ってみた。虹の出てくる絵画をまとめてあり、時代による虹の扱われ方、科学との関係が書かれていて面白かった。ただ、文の書き方が少しわかりにくいのと、難しいのはわかるけどカラー絵をもっと増やしてほしかった。参考文献が丁寧なのはうれしい。表紙が虹のデザインで素敵だなーと思っていたら、装幀:クラフト・エヴィング商會!納得のセンスの良さ。新書もデザインしてたんだ。2013/05/23
夏子
7
題名が気になって読んだ本。これから美術館で虹のある絵画を見る時の見方が変わってきそうです。色数、その意味する所、色んな方向から考察していて興味深かった。2015/03/28
寝落ち6段
5
虹のイマジネーション。宗教画や風景画から人物の肖像画まで、随所に虹が描かれてきた。空に架かる大橋は、その神秘性、美しさなどから、現実と神の世界との境界であると想像された。風景画ではその荘厳さを、肖像画ではその人物の偉大さを強調している。虹は三色か、七色か長年議論があったようだ。それも踏まえて絵画を観ていくと、その議論の変遷や作者はどっち寄りかなど、面白い観方もできる。虹の聖性は洋の東西、時代を問わず、私たちはその原理を知っているにも関わらず、魅了してくる。2013/07/31
T.Y.
4
題材が題材だけに、カラー口絵ページが多めなのはありがたい。虹という切り口から西洋美術史を見るのは面白い。個々のトピックの扱いはあっさりしているものの、宗教的主題からニュートン等の光学を巡る話題まで総覧されているのは良いところ。2013/01/08