ちくま文庫
夜の読書

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  • サイズ 文庫判/ページ数 456,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480431882
  • NDC分類 019.04
  • Cコード C0195

内容説明

本は「人類の知的活動の痕跡」であり、読書はそれを通して様々な世界に参入し、時間と空間を自在に往還する精神の運動である。著者は出版社に在社当時から、人はなぜ本を読むのかを考え続け、本の世界と徹底的に付き合ってきた。現在は全国紙の書評委員を務め、著者・編集者・読者を結びつける「本の共同体」をめざす書評は高く評価されている。その書評と読書論のエッセンスをまとめる。

目次

1 私の読書論(夜の読書;書評の藝の見本帖―『快楽としての読書「日本篇」』(丸谷才一)解説)
2 書評を蒐めて(多彩な文章に仕掛けられた最後の花火―丸谷才一『別れの挨拶』;静寂の中に“生の元型”をたどる恋愛小説―松家仁之『沈むフランシス』 ほか)
3 本に寄せて(緑の光線;井筒「伝説」に魅せられて ほか)
4 三冊の本による肖像画(大岡昇平;中村光夫 ほか)

著者等紹介

湯川豊[ユカワユタカ]
1938年生まれ。64年、慶應義塾大学文学部を経て、文藝春秋に入社する。『文學界』編集長、同社取締役などを経て退任。2003年4月から、東海大学教授、京都造形芸術大学教授を歴任する。著書に『須賀敦子を読む』(新潮文庫、読売文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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踊る猫

28
著者の筆致の誠実さに惹かれる。悪く言えば「丸谷才一一派」の筆ではある。丸谷やその周辺に居る人々(池澤夏樹や辻原登あたり)を褒めちぎる。そのべったり感にあまり良い印象は抱かない。だが、それでも読書を愛する氏の良心はイヤミなところがなく、未読の小川洋子などを読んでみたくさせられた。むろん藤沢周平や大岡昇平、安岡章太郎も必読だろう。こうして読書の幅を広げてくれただけでも本書は大したものだと思う。新年早々思わぬ掘り出し物、といった感があった。この著者は読書のみならず、人生を知っている……生きる意味を知悉した人物だ2019/01/21

やいっち

7
 「夜の読書」という題名とカバーの絵(デザイン)に主に惹かれて買った本。埴谷や椎名的な意味合いの「夜」じゃなく、まさに夜、読書するからの題名。読みたい本の傾向が違うのは仕方ないとして、本についての情報の摂取の役には立たなかった。大半の本は、小生は未読(だったり、未知だったりするのだが)、恐らくは、これからも読む機会はないだろうと感じた。それでも、本書での書評で読みたくなった本が何冊かは。 2016/09/07

akiu

2
書評集。新聞書評や、各種雑誌への寄稿、文庫解説を集めたもの。わかりやすく簡潔に内容を紹介しつつ、浪漫を感じさせる美しい文体がつづられており、ただの紹介文にとどまらず、文章そのものも大変おいしくいただきました。文学に造詣が深く、その手の作品が多く紹介されているのですが、個人的には、時折出てくる小説以外の本に強く惹かれました。内部にこめられた文学的な何かを感じたからでしょう、たぶん。読みたい本リストがまた増えた…。2014/09/10

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