内容説明
五木寛之が日本史の深層に潜むテーマを探訪するシリーズ「隠された日本」の第4弾。人々を惹きつけてやまない古都の、もう一つの顔とは?加賀百万石の城下町・金沢が成立する前には、百年近く続いた「百姓の国」があった。第一部では、この共和国と、一向一揆の真実に迫る。第二部では、生と死の世界をわける結界・二上山をめぐる謎と、「ぬばたまの闇」と形容される大和の深い闇を追求する。
目次
「情」を「こころ」と読むとき
第1部 信仰を絆にした民衆の共和国(「百姓ノ持タル国」の出現;「悪」とされた一向一揆の真実;革命都市としての金沢)
第2部 “風の王国”の世界(聖と俗が交錯する大和の闇;大和をめぐる謎;親鸞と太子信仰と水平社運動)
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年(昭和7)福岡県生まれ。朝鮮半島より引き揚げたのち、早稲田大学露文科に学ぶ。編集者、作詞家、ルポライター等を経て、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門』(筑豊篇他)で吉川英治文学賞を受賞。81年より一時休筆して龍谷大学に学んだが、のち文壇に復帰。2002年に菊池寛賞を、英語版『TARIKI』が2002年度ブック・オブ・ザ・イヤースピリチュアル部門を、04年には仏教伝道文化賞、09年にはNHK放送文化賞、10年『親鸞』が毎日出版文化賞を受賞し、ベストセラーとなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
42
本巻で扱っているのは一向一揆と当麻周辺。前半のテーマからは何となく民衆史観というものを連想させられ、実際内容もその通りであった。一向一揆については、その歴史というより加賀百万石の底に眠るエネルギーに注目するといった趣が強く感じる。確かにその通りであるんだけど、やっぱり自分のような素人にとっては、加賀や金沢というと瀟洒な文芸や手工業の土地というイメージから脱する事ができない。後半に描かれている当麻や二上山は、何となく惹かれている土地だったので興味深く読める。実際目にした時の事をありありと思い出すなあ。2014/08/30
nbhd
19
けっこうおもしろし。北陸と大和、大文字の歴史から逸れて、市井や農村の中に根づいたホトケのおしえをたどるという紀行集。絢爛な加賀百万石の悠久にしても敷石一枚ひっぺがえせば、そこに一向一揆の徒が築いた100年続く百姓国の名残がある(加賀編)。いっぽう大和編では、大正時代に平等を叫んだ水平社誕生の地をたどり、そのミナモトを「仏の前の平等」を説いた聖徳太子信仰に求める(親鸞は太子を敬っていた)。水平社宣言とともに出された決議に、差別問題に対する本願寺の姿勢を問う部分があったっていうのがきょうみ深いところだ。2016/05/06
しんすけ
12
中ほどに、「十字軍はもう通用しない」と書かれている。現代を象徴する覇権主義を皮肉っているようにも観える。だだし本書は20年ほど前に書かれたものである。 本書の主題は、加賀(金沢)と大和(奈良)の埋もれた歴史を探索だ。一般の歴史書は表面の英雄や政治を中心に記述したものが多いが、学会の部外者は時折このような面白い本を書いてくれる。 流布されている物には際物もあり俄かに信じがたいが、本書は裏付けも多く取っている。 前半は1965年の永原慶二による『下剋上の時代』にも重なることが多かった。2019/11/18
LUNE MER
10
学生時代に一泊旅行した金沢。金沢のこと何も知らないままに観光して帰ってきてしまった。もっとも当時この本を読んだとしても全く興味示さなかった気もするが。今一度ゆっくりと散策したい金沢。そして大和。これまたゆっくり散策したい大和。古代ロマンって月並みな言葉かも知れないが、まさに今浸ってる気分を表す言葉。2020/06/18
中年サラリーマン
9
僕は一揆に興味がありいつか調べてみたいとおもっている。本書は参考文献があるので他にもいろいろな本を読んでみよう。2014/08/15