ちくま文庫
折口信夫集 神の嫁―文豪怪談傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480426499
  • NDC分類 380.4
  • Cコード C0193

出版社内容情報

内容は後日登録

内容説明

巫者に憧れ、河童と戯れ、まざまざと異界を幻視した折口信夫は、近代日本が生んだ大いなる学匠詩人にして稀有なる霊媒(ミーディアム)であった。文学と民俗の両面にわたる深遠幽暗な折口学の根底には、常に彼方への視線、人外のモノへの共感がひそめられており、それはしばしば怪談文芸の領域へと肉迫する。知られざる名作怪談「生き口を問う女」や「稲生物怪録」ほかの創作と論考を一巻に。

著者等紹介

折口信夫[オリクチシノブ]
(1887‐1953)大阪生まれ。筆名釈迢空。国学院で学び中学の国語教師を経て、柳田國男を知り、民俗学・国文学の研究に入る。民間伝承採話のかたわら、短歌、詩、小説を書き、日本芸能史や古代研究にわたっては、実証に加えて詩人的直観にもとづくおよそ類のない想像力と洞察にあふれた仕事をのこした

東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長、現「幽」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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KAZOO

43
折口信夫については「死者の書」とか、万葉集についての評註などしかあまり読んだことがないのですが、この本を読んでやはり民俗学についてはかなり見識があることがわかりました。「稲生物怪録」は脚本仕立てで面白く、そのほかにも「むささび」も同様でこのような作品も書いていたのかと感じました。また「鬼の話」「河童の話」「座敷小僧の話」などは、民俗学の分野ですね。2015/03/20

井月 奎(いづき けい)

39
「鏡花との一夕」と「神の嫁」をつまみ読み。鏡花との思い出話の「鏡花との一夕」は私にとって楽しい読み物です。鏡花と折口、ともに病的な潔癖症で怪異に見せられた者ですが、自らの心の底からお化けを連れ出した鏡花とフィールドワーク、旅の道すがら神々を見だした折口の会話はどのようなものだったのでしょう?「神の嫁」は『死者の書』の原型をなす物語で、藤原豊成の娘が疫病を収めるために自らが贄となろうとする物語です。これに魅力を感じつつもしっくりこなかったのでしょう、この作品を中絶して、かの神品、『死者の書』に着手します。2020/01/03

藤月はな(灯れ松明の火)

36
京極夏彦氏が「文体の妙がたまらない」と絶賛する「死者の書」はさわりだけですが死しても意識がある大津皇子の語りにシュレディンガーの猫のようなパラドックスに眩惑されつつも何度も引き込まれます。「生き口を問う女」などの絶品怪談のほとんどが未完の作品が多いのが本当に惜しいような完全でないからこそ考えられる不思議の広がりにホッとしたような複雑な気分になります。地域ごとの河童の研究や信田狐の説話から分かるパターン、様々な怪談の表現法についてなどの考察も興味深かったです。2013/03/21

nora

6
怪奇幻想小説の傑作である「生き口を問う女」、「神の嫁」、「死者の書」、怪談についての民俗学的論考の「鬼の話」、「河童の話」、「信太妻の話」、そして太宰治や泉鏡花との交流を綴ったエッセイの載った、文豪怪談傑作選シリーズの掉尾を飾る重厚な作品集。2009/11/09

らむだ

3
小説・戯曲。演劇・古典文学の論考。幽霊・妖怪の論考。エッセイ・講演・詩という構成で編まれている。読みやすくまとめられているので、折口信夫入門としても怪談・民俗学入門としても必読の一冊。2024/01/14

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