内容説明
世界を地図に収め、あるいは自らのなかに世界を照射し、空想の土地をめざして旅立っていった作家たち。海の彼方の安らかな母胎トマス・モア『ユートピア』島、ヴェルヌ『海底二万里』のネモ船長の壮絶なる孤独、ポオやメルヴィルが描いた底もなく深い霊魂の姿たる神秘の大洋、ウェルズや久生十蘭らが幻視した地下世界…想像力の地平は無限だ。文学史における空間的・地誌学的思考とその表象の連綿たる系譜を類型論的にたどり、貴重な図版多数とともに解き明かす驚くべき幻想文学誌。スリリングな知的冒険が始まる。
目次
幻想の島へ
幾何学的な子宮
プロスペローの魔島
月―空に浮かぶ島
海という装置
地底の旅
隠喩としての砂漠
密林の美女
人体地図の系譜
二枚の地図