内容説明
「フロベールの才能を欠いた友人」としてのみ、かろうじてその名を文学史の上にとどめるマクシム・デュ・カン。彼の“凡庸”な生涯と作品をたどりながら、1848年のパリ2月革命から19世紀末にいたる、近代が確立期から成熟期へと向かい、時代そのものが人に凡庸たれと要請する大衆の時代が出現するまでの過程を鮮やかに描き出す、豊饒なる文化の詩学。
目次
蕩児の成熟
蕩児は予言する
特権者の代弁
開かれた詩人の誠実
韻文の蒸気機関車
凡庸さの発明
旅行者の誕生
芸術家は捏造される
仮装と失望
写真家は文芸雑誌を刊行する〔ほか〕